【解答速報】2015年 開成中学校 算数(解説つき)大問3
(2016年2月1日更新:2016年度開成中算数の解答・解説速報も作成しました→2016年度開成中算数 解答速報 解説つき)
(問題はこちら→四谷大塚さんのサイトです)
【3】
速さの問題。
やること自体は明快で、何ら難しくはない。しかし…
開成お得意の「受験生疑心暗鬼系」悪答問題である。
計算に時間がかかる上、無駄に数字が汚くなり、己に自信がないと非常に不安になる。
特に本問は、万が一(1)を間違えるとそれ以降全滅する可能性大。恐ろしすぎる。
考え方に工夫の余地はあるが、決して難しくないので、できることなら全問正解しておきたいところ。
ミスる受験生もそれなりの数いると思われるので、全問正解によりアドバンテージを握れる問題なのではないだろうか。
なおこの問題は、開成の中学校舎周囲のランニングコース、通称「幼稚園コース」をモチーフにした問題だと思われる。実際にはもう少し距離が長く、道もクネクネしているが、まさにこんな形状のコースなのである。
D→Cを全力で駆け上がるのを通称「坂ダッシュ」と呼び、その昔、腿がパンパンになるまでやったなあ…
作問者の遊び心を感じて、思わずニンマリしてしまった。
…どうでもよいことを語ってしまった。では解説に移ります。
※帯分数の表記について
→例えば1 4/5(1と5分の4)は、1(4/5)と表記します
(1)各区間でのそれぞれの速さを正しく把握すれば、数字は汚いがやることは5年生レベル。
この問題は(2)以降の前提ともなるので、念には念を入れてその場で2、3回見直してもよいだろう。正確な計算を心がけたい。
ゆう君 A→B→C→D→A と一周する。
各区間の所要時間は、順に10/7、1、12/7、2(すべて単位は分)
まさひろ君 D→C→B→A→D と一周する。
各区間の所要時間は、順に2、1、20/21、2(すべて単位は分)
それぞれ合計して、
ゆう君 6(1/7)分 まさひろ君 5(20/21)分
(2)上に書いた所要時間から、BC上に先に来るのはゆう君とわかる。
後から来るまさひろ君がCに着いた時、ゆう君がどこにいるかを考え、あとは出会い算。やることは非常にシンプル。
スタートして2分後にまさひろ君はCに来るが、その時ゆう君はBを通過してさらに
2-10/7=4/7(分) だけ進んでいるので、分速の100mをかけて、BC上を
400/7m進んでいることがわかる。
その時、 100-400/7=300/7(m) が2人の間の距離。
そこからの出会い算は2人とも同じ速さで進むので、ちょうど中間地点で出会う→あと150/7m
つまり、Bからは 400/7+150/7=550/7=78(4/7)(m)の場所で出会う(すれ違う)とわかる。
(3)計算を楽にするため、考え方を少し工夫したい。
1周にかかる時間はまさひろ君の方が
6(1/7)-5(20/21)=4/21(分)短い。
それはつまり、(2)の後にまさひろ君が1周して再び同じ地点(Bから78(4/7)mの地点)に戻ってきた時、ゆう君はその地点まであと4/21分かかるということで、要は 100×4/21=400/21(m)の距離を残していることになる。
その状態から、2人が同じ速さで出会い算をするので、ちょうど中間地点である200/21mずつ進んだ場所で出会う。
この200/21mこそが、(2)で求めた場所からずれた距離である。もちろん方向はBの方向に。
B地点のほうへ200/21=9(11/21)mずれた場所 が答えとなる。
(4)前2問からの流れで考える。
Bから550/7mの場所でまず出会い、そこから出会いのたびに200/21mずつB方向にずれていくので、
550/7÷200/21=33/4=8(1/4)
つまり1回目の出会いの後、B方向に少しずつずれながらBC上で8回出会い(BC上で合計9回出会い)、その次についにBC上を外れる(=AB上に出会いの場が移る)ことになる。
ということで、9回目の次だから…と、答えを 9+1=10(回目) …としてはならない。
図でいう「上側のゾーン」、要はBC上やその付近では10回目の出会いだが、実は1周するたびに毎回「下側のゾーン」でも出会っていることを忘れてはならない。
スタートから順に、 上、下、上、下、上… と交互に出会っているはずなので、上で10回出会う間に下では9回出会う。
よって答えは 10+9=19(回目) にすれ違うとき、となる。
また、場所は、まさひろ君が10回目にB地点に来るときにゆう君がどこにいるかを考え、あとは出会い算で解けばよい。
まさひろ君が10回目にB地点に来るとき → スタートから 5(20/21)×9+2+1=396/7(分後)(9周+D→C→B)
ゆう君が9周してAに来るとき → スタートから 6(1/7)×9=387/7(分後)
396/7-387/7=9/7(分)だけゆう君を進ませると、84×9/7=108(m)進むことがわかるので、
まさひろ君が10回目にB地点に来たとき、ゆう君との距離は120-108=12(m)とわかる。
最後の出会い算は、 速さの比=同じ時間で進む距離の比 で考えて、無駄な計算はしないように。
AB上での速さは、
まさひろ:ゆう=126:84=3:2 なので、Bから
12×3/5=7(1/5)(m)の場所で出会うことが求まる。