「バツは宝物」と心得よう
皆さん、こんにちは。
個別指導塾テスティー塾長の繁田和貴です。
今回の記事では、せっかく解いた問題、かけた勉強時間を、無駄にしないためのお話をします。
夏期講習は授業が長時間になり日程も過密で、子どもにとっては非常にハードです。今回はひとつ、ぜひお母さんお父さんがサポートしてあげてほしいことをお伝えします。
それは復習の管理です。
連日新しい課題が出される夏期講習では、子どもに任せておくとつい復習がおろそかになりがちです。
しかし、成績を伸ばすためのキモは復習にあります。これをおそろかにしてはなりません。特に「バツ」だった問題の復習です。
当たり前ですが、×を○に変えることで成績は伸びていきます。
自分の過去を振り返っても、この管理は母親にずいぶんと助けられた記憶があります。
拙著「中学受験を9割成功に導く『母親力』」の中に、私と私の両親のインタビュー形式での対談が載っている箇所があります。
そこから一部引用します。
母 とにかく復習だけはしっかりやらせていました。私がやっていたのはその管理だけ。これは塾に通い始めてから受験まで続けました。
繁田 ゴロ合わせ的なヒントもよく出してくれたよね。たとえば、八代平野の八代亜紀とか。小学生が八代亜紀なんか知らないよ! と思っていたけど(笑)。
母 そんなこともあったかしら?
繁田 え! 覚えてないの?(笑) 母は間違えた問題の管理はしっかりやってくれました。それと勉強の進み具合の管理も。塾の前日はバツがついた問題を中心とした確認作業を、母と一緒にクイズ形式も交えながら行いました。母が関わってくれたおかげで、なんとか宿題もやれていたように思います。
母 分からない状態で塾へやると、分からないことが膨れてしまいますから。復習をしっかりやっていたのは、そうならないためです。
母との対談なのでちょっと恥ずかしいですが、ご紹介させていただきました。
対談の中で母が「とにかく復習だけはしっかりやらせていました。私がやっていたのはその管理だけ」と語っているように、母が徹底して復習を管理してくれたことは、私が中学受験で好結果を残せた理由として大きかったと思っています。
多くの課題が出されている、いわば多忙な小学生にとって、自分自身でやるべきことを適切に管理するのは難しいものです。
芸能人にマネージャーがいるように、社長に秘書がいるように、その人がその人にしかできない仕事に集中できるよう、多忙な人にはサポート役がつきものです。
これは受験勉強に取り組む小学生でも同じで、ぜひお母さんにはお子さんのマネージャー役になってほしいのです。
では具体的にお母さんにお願いしたいことは何か?
今回のテーマである復習管理でお願いしたいことは、以下の3つです。
- 学習の基本パターンの把握
- やった問題の確認
- バツの確認とバツを大切にする意識づけ
1.学習の基本パターンの把握
塾やコースごとに違いはあれど、毎回の授業で扱う教材や、毎回の宿題の出され方はだいたい決まっています。
その基本パターンは必ず把握しておいてください。
ここをおそろかにしてしまうと、完全に子ども任せの受験勉強になってしまいます。
自立した高校生(大学受験)ともなれば子どもに任せてもよいのですが、中学受験では親がきちんとこの基本パターンを把握しておくことが、子どもの勉強をサポートするにあたってのベースとなります。
2.やった問題の確認
その日何を授業でやったのか、宿題として何をどれくらいやったのか、子どもが実際に取り組んだ勉強内容を確認してください。
オススメは食事の時に会話の中でさりげなく聞くことです。
「今日どんなことをやったのかお母さんに教えてほしいな」
「出来具合はどうだった?」
ここで注意してほしいのは、これは子どもを責めるためにやるものではないということです。
仮にあまり良くない出来具合だったとしても、先週のメルマガの内容を思い出して、なるべく褒めポイントを見つけてポジティブな声掛けをしてあげましょう。
この会話の目的は「ツカミ」です。あくまでお子さんの頑張りを認めて聞き役に徹することで、「お母さんは僕/私の勉強に興味を示してくれている」「一緒にこの受験勉強というレースを走ってくれている」という安心感を子どもに持ってもらえるようにしましょう。
そうするとその後も子どもとの間で共に戦うチーム意識を持ちやすくなります。
その上で、あとで教材やノートを一緒にチェックするなどして、実際の出来具合を確認しておいてください。
3.バツの確認とバツを大切にする意識づけ
解いた問題の中で間違えたものはどれなのか。バツを分かりやすい形で記録することをお子さんに促し、バツのついた問題こそが成績アップのカギであり、向き合うべき課題であるということを意識づけしてあげてください。
一番怖いのはバツをそのまま放置してしまうことです。私の母がインタビューの中で述べているように、バツを放置すると分からないことがどんどん膨らんでしまう原因となります。
オススメはバツを「問題」の方に記録しておくことです。ノートに解いたものでも、後で復習するときに見るのは問題の方ですから、問題の側にバツを記録しておくと便利です。
もし数値替えの問題が用意されている教材なら、その数値替え問題の方にマークしておくのもひとつの手です。
とにかく、多忙なスケジュールの中でも、バツのついた問題を復習(解き直し)するところまでが1セットだと考えるようにしてください。
もしそれが物理的にできないのなら、解く量を減らして(間引いて)でも、きちんと復習の時間が取れるようにしましょう。
この作業を習慣化するためには、子どもがバツを嫌がらないようにすることが肝心です。
親が子どものバツに目くじらを立て、ことさらに叱るようなやり方では、ダメだということは想像できますよね。
お子さんがバツに前向きな気持ちで向き合えるような声掛けをしてあげましょう。
私からオススメしたいのは、「バツは宝物」というキーワードです。
これを親子の合言葉にしてみてはいかがでしょう。バツに対する意識が変わりますよ。
「色々な問題を解いているのは、このバツというお宝を探すためにやっているようなものなんだ」と。
「バツを見つけたら、そのお宝をしっかりゲットできる(マルにできる)ようにマークして取り組もう」と。
そんなポジティブな声掛けをしてあげてください。理科や社会などの暗記物では、私の母のようにバツを中心とした一問一答をクイズ形式でやるのも有効です。お母さんが伴走してくれているという安心感に加え、会話が刺激となって記憶に定着しやすくなる効果も期待できますよ。
以上、復習管理においてサポートしてあげてほしい3つのポイントについてお話しました。
忙しい夏期講習の時期だからこそ、せっかくの頑張りが無駄にならないよう、しかるべき復習を入れることが大切です。
お子さんの学習の全体像を把握した上で、ぜひポジティブな声掛けをしてあげてくださいね。
それでは!
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