【夏期講習2017】センター化学の勉強を始めよう②
[mathjax]
こんにちは。大学受験の理系科目を担当しています、石川です。
前回に引き続き高校(基礎なし)化学についての紹介をします。
新課程(2015年のセンター試験以降)の化学の大問構成は2016年から、
(必答)第1問 理論化学(物質の構造・状態に関する問題)
(必答)第2問 理論化学(基本的な化学反応・平衡に関する問題)
(必答)第3問 無機化学
(必答)第4問 有機化学(有機化学の基本から芳香族化合物まで)
(必答)第5問 有機化学(高分子化合物)
(選択)第6問 有機化学(主に合成高分子)
(選択)第7問 有機化学(主に天然高分子・生体高分子)
のような構成になっています。
2017年のセンター試験は問題数が増加したことにより、配点が変わっていますが、
1問は2点~4点で、2017年では理論:48点 無機:24点 有機:28点となっています。
この配点からも理論化学が重要であることがわかると思いますが、
理論化学は配点が高いから重要というだけでなく、
無機化学や理論化学を理解する上で特に重要です。
このことを認識せずに、無機化学や有機化学を単に暗記として勉強していると、
暗記量がやみくもに増えて受験勉強において多大な負荷がかかることになります。
第1問で出題される内容の一部は前回紹介したような、「溶液の性質」や、
原子構造、原子間結合、結晶構造、気体の性質などです。
第2問で出題される内容は
・熱化学方程式(結合エネルギーを含む)
・反応速度と化学平衡
・中和反応
・酸化還元反応
・電池と電気分解
など化学反応に関する問題を扱っている部分が第1問との理論化学内の区別だと推測されます。
新課程の出題範囲になって以降(2015年以降)は中和滴定など単純な中和反応は出題されていません。
ここでは上の板書写真にもある「電池と電気分解」について紹介します。
前回と同じように駿台の実践問題集を利用しています。
実況中継のような感じで読んでいってください。
【鉛蓄電池に関する問題】
正極で起こる反応が酸化反応か還元反応かを問う問題がありました。
電池で起こる反応は、正極で還元反応、負極で酸化反応になりますが、
これはどんな電池でも共通なので、一番簡単な電池であるボルタ電池で考えると楽です。
Q. ボルタ電池の正極・負極で起こる反応は?
A. \[ 正極:2\rm{H}^{+} + 2e^{-} \longrightarrow H_2 (還元反応)\]
\[ 負極:\rm{Zn} \longrightarrow \rm{Zn}^{2+} + 2e^{-} (酸化反応)\]
酸化反応か還元反応なのかは、反応する原子(またはイオン)の酸化数の変化で判断します。
酸化数が増えれば酸化している、酸化数が減っていれば還元しています。
Q. ボルタ電池で上のような反応が起こるのはなぜでしょう?
A. まず、電解液中の水素イオン \( \rm{H}^{+} \) と電極として入れる2種類の金属(\( \rm{Cu} \)、\( \rm{Zn} \))のイオン化傾向を比較します。
←イオン化しやすい イオン化しにくい→
K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb H Cu Hg Ag Pt Au
ここで、水素イオン \( \rm{H}^{+} \) よりも亜鉛 \( \rm{Zn} \) の方がイオン化傾向が大きいため、
亜鉛が \( \rm{Zn}^{2+} \) にイオン化します。(この時点で反応式は決定)
このとき、電極に電子を捨てていきますが、この電子はもう一方の電極(この場合\( \rm{Cu} \))に移動します。
亜鉛から電子が出ていくことになるので、亜鉛が負極と決まります。
銅ではイオン化傾向で比較した水素イオン \( \rm{H}^{+} \) が原子(水素分子)に戻る反応が起きます。
これが正極での反応になります。
Q. 鉛蓄電池の正極・負極で起こる反応は?
A. \[ 正極:\rm{PbO}_2 + 2e^{-} + 4\rm{H}^{+} \longrightarrow \rm{Pb}^{2+} + 2\rm{H}_2\rm{O} \]
\[ 負極:\rm{Pb} \longrightarrow \rm{Pb}^{2+} + 2e^{-} \]
こういう反応式まで暗記しようとすると本当にキリがなくなりますので、
電池や電気分解を含めた酸化還元反応の半反応式は作れるようにしましょう。
鉛蓄電池の例で説明します。
まず、2つの電極に何を用いるか( \( \rm{Pb} \) と \( \rm{PbO}_2 \))は覚えましょう。
(むしろ、覚えるのはこれらの電極と何に変化するかだけ)
次に先ほどのボルタ電池の話を考慮すると、正極で還元反応、負極で酸化反応が起きます。
鉛蓄電池の場合は、ボルタ電池のように電極が両方とも金属ではないため、
電極が変化すると考えると、もともと酸化数の高い酸化鉛(Ⅳ) \( \rm{PbO}_2 \) は還元するしかなく、正極。
鉛は負極で酸化反応すると決まります。
鉛の酸化数は鉛の0や、酸化鉛(Ⅳ)の+4以外に、+2を取るので、
それぞれが鉛(Ⅱ)イオン \( \rm{Pb}^{2+} \) の酸化数に変化することが決まります。
(この酸化数の歩み寄りの話は酸化還元で重要な話ですが、何に変化するかは覚えておいてもいいと思います)
それぞれが何に変化するかがわかれば、後は半反応式の作り方に従います。
これは何から揃えるかで流儀がいくつかありますが、
① \( e^{-} \) を酸化数の変化に応じて足す
② \( \rm{H}^{+} \) を電荷がつり合うように足す
③ (酸素を含む化合物なら)\( \rm{H}_{2}\rm{O} \) を足す
の順番で作ることができます。
いろいろ書いてしまったので、この辺で。
続きはまた後日。。。
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