【TESTEA(テスティー)自由が丘校】素数ゼミ(後編)
TESTEA自由が丘校(兼 みなとみらい校)教室長の中島です。
私は将棋が趣味で、かれこれ45年程指しておりますが、今から14年前の2007年5月30日に「日本女子プロ将棋協会(LPSA)」が設立されたそうです。 女流棋士と言えば、蛸島彰子さんや中倉姉妹がとても素敵でしたね。
さて、今日は「素数ゼミ」の後編でございます。
そもそも、種が滅びずに繁栄していくためには、どのような要素が必要でしょうか。 それはライバルの有無でしょうか。競合する他の種がいないに越したことはないですから。 他の種との交配を避け、自分たちだけの純粋な子孫を残すことで、その種は永続的に繁栄していくというわけです。
そこで、前編で出題した算数の問題を、もう一度振り返ってみましょう。
「バスAは6分おき、バスBは8分おきに出発します。最初にバスAとバスBの2台が同時に出発したとします。次に2台同時に出発するのは何分後でしょうか?」
ここで、この問題を次のようにアレンジしてみましょう。 「セミAは6年おき、セミBは8年おき、セミCは17年おきに羽化します。これら3種類のセミの中で2つの種が同時に羽化するのは何年おきでしょうか?」
さあ、どうですか。これは3通りほど調べないといけないようですね。 AとB→24年おき BとC→136年おき CとA→102年おき (ちなみに、A・B・Cの3種が同時に羽化するのは、なんと408年おきとなります。これは江戸幕府が始まってから、今から10年前までがほぼ408年に相当します!)
さあ、この結果をご覧になっていかがですか? セミCに注目すると、他のセミと同時に羽化するのは、それこそ100年以上生きて一度お目にかかれるかどうかという機会よりも少ない頻度なのです。 それに対して、セミAとセミBは100年の内に、なんと4回も一緒に羽化することになるわけです。
しかし、厳密にはこんなに綺麗にはいきません。
同じ年に羽化したセミAとセミBが交配してできた、いわゆるハーフの種は、ともすると5年おき、6年おき、7年おき、9年おきというように、羽化の周期が乱れてくる可能性があるのです。そうすると、その年に羽化した個体数は、本来規則正しく羽化した場合と比べて、その前後の年度でかなりばらつくこととなり、それはその年度の個体数の減少につながることとなり、その結果として安定して必要な個体数を残すことが段々と難しくなってくるというわけです。
それに対して、他の種とめったにお目にかかることがない素数ゼミCにおいては、純粋に自分と同じ種と交配して子孫を残していきますから、この17年周期は余程のことがない限り、しっかりと遺伝情報に組み込まれていくわけです。
いやぁ、自然界というのは実に不思議であり、かつ合理的ですよね。
しかし、私はここでどうしても疑問に思うことがあります。 それは、セミたちはどうやって年数を数えているのでしょうか?人間でさえ数え間違えることがあるというのに!