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難関校に合格する人の勉強法はいつの時代も同じ 第六章 合格を確実にするための習慣術

第六章では、合格を確実にするための習慣術として、プラスの習慣を形成し、マイナスの習慣を排除することの重要性が詳しく解説されている。戦略的な時間の使い方、メリハリのある学習、完全休養日の活用、そして安定して良い状態を保つための生活習慣まで、長期的な受験勉強を成功に導くための実践的な方法論が提示されている。保護者が子どもの学習をサポートする際の具体的な指針となる内容だ。

この章の目次

習慣が受験勉強に与える影響

プラスの習慣を形成し、マイナスの習慣を排除したものが勝つ。これは勉強術や記憶術を上梓したあとに、原田隆史先生を通じて学んだことである。人間はサボりたがり屋の生き物である。誰だって勉強しているより、遊んだり寝ていたりしているほうが楽に決まっている。そう考えると、サボりは人間が本能的に求めているものだといえる。

サボるために勉強する

受験生も人間である。だからサボりたいと思うのが自然なのだが、本能のままにサボり続けていると成績が悪くなるので、サボらずに勉強する。しかし、ここでよく考えてもらいたい。サボらずに勉強するから辛いのである。サボるために勉強すると考えたらどうだろう。

自慢ではないが、優等生時代にも、まわりから「あいつはサボっていてけしからん!」とよくいわれた。しかし、やるべきことはしっかりやって、その上でサボるというのであれば、誰からも文句をいわれる筋合いはないと思う。むしろやるべきことを要領よくこなしてサボりの時間をうまくつくっていたのだから、ほめるべきではないだろうか。「あなたもやるべきことをさっさとやって、一緒にサボりましょうよ!」というのが私の言い分だ。

効率よく集中的にやる

受験勉強はダラダラと時間をかけてやればいいというものではない。要領の悪い人が十の時間をかけてやることを、効率よく集中的にやることで一や二の時間でこなし、残りをサボる時間にすることができるなら、そのほうがいいではないか。なぜなら「サボるために勉強をする」ほうがモチベーションが増すからである。

学校の定期試験とちがって受験勉強は長期戦だ。こんなふうに適度にサボりを入れていかないと集中力だって持続しないだろう。脇目も振らずにひたすら勉強するという無理なやり方では絶対に長続きはしない。ポイントは、「いかにサボるか」だ。志望校によって仕上げ具合は変わってくるが、合格するために必要な勉強量はだいたい決まっている。受験日までにサボらずにその量をこなすのと、サボりながらその量をこなすのなら、私は後者をとる。ガッとやって、あとは目一杯サボる。

よく遊び、よく学べ

しかしながら、サボるという表現は、やはり聞こえが悪いかもしれない。要は「よく遊び、よく学べ」の精神だ。「遊ばずに、だらだら学べ」ではいけないのである。実際、こういうメリハリのある生活を送ったほうが、結果的にはうまくいくのだ。

習慣的に意識すべき時間の使い方

まずは第一章で紹介したパレートの法則のおさらいからだ。これは全体の数値の大部分は、そのものを構成するうちの一部の要素が生み出しているという考え方である。「全所得の八割は人口の二割の富裕層が持つ」「売り上げの八割は全従業員の二割で生み出している」などが代表例で、俗に「80対20の法則」とか「ニッパチの法則」などと呼ばれている。

勉強の成果の八割は時間の二割で生み出される

そして、このパレートの法則から導き出したのが、「勉強の成果の八割は、費やした時間の二割で生み出している」というものだ。これはあくまでも仮説であるが、自分自身の経験や多くの塾の生徒たちを見ているうちに、最近では「この数字に近い法則が実際にある」という確信に変わってきている。

この法則は受験勉強のやり方に応用できる。志望校に合格するためには入試で満点を取る必要がないし、これはどんな難関校であっても同じことだ。八割取れればまずまちがいなく合格できるので、パレートの法則の考え方で時間を効率的使うことができれば、目標達成もグッと近づくだろう。

八割を目標にした時間の使い方

まず達成目標を「八割」に置く。ある科目を完璧に仕上げるには「100」の時間が必要だが、八割の達成には早ければ「20」程度でも十分である。この数字は実際の時間ではなく割合だ。この考え方でいくと、計算上は一科目を完全に仕上げる時間で、五科目を八割仕上げられることになる。取れる点数で比較しても、完璧に仕上げた場合は100点が期待できるものの、八割を目標にした場合は同じ時間で400点になる計算である。どちらが効率よいかは一目瞭然だろう。

戦略的な時間の使い方

受験勉強は長丁場である上に科目数も多いので、限られた時間をうまく使うには戦略的な時間の使い方も必要である。パレートの法則は一例だが、同じように効率化できる方法があれば、どんどん使っていけばよい。もちろん、なかには「自分は完全に仕上げたい」という人もいるにちがいない。かつての私も完璧主義者だったので、「完璧でなければ嫌だ」という人の気持ちはよくわかる。しかし、受験の目標はあくまで合格することだ。そのために何が最善な方法なのかをいつも考えなければならない。そのような発想で全体を見渡す広い視野を持って取り組んだほうが、より合格に近づくことができるし、入試本番までの時間を効率よく使うことができるだろう。

完璧主義は、使い方さえまちがえなければ決して悪いことではない。どうせなら確実に合格するための戦略家として完璧主義者になるといいだろう。ちなみに、受験は範囲が広いので、早く始めるとそれだけ対策を万全にしやすくなるのは当然である。中学受験の場合は、基礎固めができていれば小五からでも間に合うが、小三~小四くらいから準備を始めるとしっかりと基礎を固めることができるので将来にプラスになる。

メリハリ学習のすすめ

集中して勉強するには、集中できる環境に自分を置くといいと第二章で書いた。それでも集中できないことはあるが、そういうときには無理は禁物だ。休息や気分転換の時間をとって、リフレッシュしてから再び勉強に取り組むといいだろう。

プレッシャーとストレス

人間はプレッシャーに弱い生き物である。心臓に毛が生えたような強い心の持ち主なんて滅多にいない。プレッシャーがかかると、かなりの精神的ストレスになるのがふつうである。そんな状態で受験生としての生活を送り続けていると、そのうちに勉強がまったくはかどらなくなるので要注意だ。

時間を効率よく使うことをすすめているが、これだって本当の目的は「勉強を進めること」にある。ところが、効率を優先すると、自分のエゴとぶつかる機会は自然に増える。もともと人間は「勉強願望」より「サボり願望」のほうが強いからである。このときに生じるストレスを抑えながら勉強を続けるのはなかなかたいへんだ。

完全休養日をつくる

無理な戦いを続けると、「勉強を進める」というそもそもの目的の達成に支障を来すことになる。こういうときは、思い切って自分を縛ることをすべて忘れるといいだろう。つまり、好きなように過ごすことができる完全休養日をつくるのだ。

このリフレッシュも勉強のときと同じで中途半端はよくない。その日はとにかく勉強のことを考えるのは一切禁止する。そのルールさえ守れば、あとは何に使っても基本的には自由である。好きな音楽を聴いてもいいし、スポーツやサイクリングに出かけてもいい。途中で勉強のことが気になったら「勉強なんかしらん! 今日はそんなもんは関係ない!」という強い気持ちで頭の中から排除してやるといい。完全リフレッシュなので、それくらい徹底しなければ意味がないのだ。

完全休養日のタイミング

ちなみに、完全休養日は必ずしも定期的に設ける必要はない。こういうリセット作業は、行き詰まったときにやるからこそ意味がある。疲れた精神のメンテナンスを行うことで、再び勉強のための活力を生み出すのである。そのほうが効率よく勉強できるので、一時的なストップなど決して恐れることはない。

それでも「休むのが不安」という人に一つ問題を出そう。一日50しか進まない状態で一週間勉強するのと、一日休んで気力を回復させたことで一日100進む状態で残り六日間勉強する人がいたら、結果的にはどちらのほうが勉強が進んでいるのだろうか。答えはいうまでもない。

休みすぎには要注意

人間は弱い生き物なので、制約がなければどんどん楽なほうへと流れていく。私がいい例で、かつては優等生だったのに、一度タガがはずれたら転落が止まらず、一気に劣等生にまで落ちてしまった。

先ほど、行き詰まったときには「完全休養日」が必要と書いたが、これには落とし穴があることをいっておかなければならない。完全休養日は、勉強を忘れて好きなことだけできるので、勉強疲れをしている受験生にはこれほどうれしい日はない。ゆえに、これがきっかけで「このまま勉強をやめちゃおうかな」となってしまうこともあるので要注意だ。

当然、休む前にそんなことを考えている人はいない。完全休養日の目的は、あくまで毎日の勉強の効率を上げることなのだから。しかし、怠け悪魔の力は予想以上に強く、弱い心につけ込んで「もうこのままやめちゃえよ」と耳元で甘くささやいてくるのである。この誘惑に負けて「もう一日だけ休もうかな」となって、勉強への復帰が遅れてしまうことはよくある。ひどい場合、「もう一日だけ休もう」を連続しているうちに、完全に勉強から離れてしまうことになる。

じつはこれ、浪人生時代の私のことだ。予備校に通うために一応は家から出るものの、目的駅に着いてから向かうのは手前にある雀荘というのが日課になっていた。「こんなことをしていてはダメだ」とわかっていてもどうにもならない。本当に怠け悪魔の力、恐るべしである。

こういうことにならないように、完全休養日は「一日」という期限を設けることが重要だ。二日以上になると危険度が増すので絶対にやめたほうがいい。効率アップのためには立ち止まって休むことが重要だが、受験生にとって休みすぎは絶対に禁物だ。

安定して良い状態を保つには

それでは一日の完全休養日でリフレッシュできないときはどうすればいいか。こういう場合は、毎日の生活の中にリフレッシュのための時間をつくればいい。オンとオフの切り替えをしっかりやれば、毎日の勉強の効率をアップさせることができる。

生活リズムを整える

もちろん、朝型にするとか、たっぷりの睡眠を心がけるのも、勉強の効率アップのためには欠かせないことである。安定して良い状態を保つには、規則正しい生活リズムを整えることが重要だ。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝る。この基本的な生活習慣が、長期的な受験勉強を成功に導く基盤となる。

睡眠時間を削ってまで勉強するのは、短期的には成果が出るように見えるかもしれないが、長期的には逆効果である。睡眠不足は集中力の低下、記憶力の低下、免疫力の低下など、様々な悪影響を及ぼす。たっぷりの睡眠を心がけることで、勉強の効率は確実に向上する。

オンとオフの切り替え

毎日の生活の中にリフレッシュのための時間をつくることも重要だ。勉強時間と休息時間を明確に分けることで、オンとオフの切り替えがしっかりできるようになる。勉強の時間は集中して取り組み、休息の時間は完全にリラックスする。このメリハリのある生活が、長期的な受験勉強を成功に導く鍵となる。

まとめ

第6章では、合格を確実にするための習慣術として、プラスの習慣を形成し、マイナスの習慣を排除することの重要性が詳しく解説されている。戦略的な時間の使い方、メリハリのある学習、完全休養日の活用、そして安定して良い状態を保つための生活習慣まで、長期的な受験勉強を成功に導くための実践的な方法論が提示されている。パレートの法則を活用した効率的な時間の使い方、完全休養日を活用したリフレッシュ、そして規則正しい生活リズムを整えること。これらはすべて、長期的な受験勉強を成功に導くために欠かせない要素だ。保護者が子どもの学習をサポートする際の具体的な指針となる内容である。

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