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難関校に合格する人の勉強法はいつの時代も同じ 第五章 合格を確実にするための三つの極意

第五章では、合格を確実にするための三つの極意として、「戦略的勉強」「志望校対策」「弱点克服」「心構え」が詳しく解説されている。メンタルブロックを取り除くこと、志望校の出題傾向を分析すること、弱点をステイラインまで引き上げること、そして執念を持って最後まであきらめないこと。これらはすべて、難関校合格を確実なものにするために欠かせない要素だ。保護者が子どもの学習をサポートする際の具体的な指針となる内容である。

この章の目次

「戦略的勉強」のすすめ

失敗したときの経験は頭の中に深く残る。そして、これが原因で思考がマイナスの方向に引っ張られるというのはよくあることである。始める前から「自分にはできない」と思い込んでいるのは、たいていはこれが原因だ。これを「メンタルブロック」というが、未来の可能性を自分で潰しているようなものなので、受験生にとってはまさしく「百害あって一利なし」である。

メンタルブロックの弊害

メンタルブロックの弊害を伝えたいとき、よくこの話をする。それはインドにおけるゾウの調教の話だ。インドでは立てられた細い棒とロープ一本でゾウをつないでいる。ゾウが引っ張れば、その棒は簡単に抜けるからすぐに逃げられそうだが、ゾウはそれをやろうとしない。これは調教時の経験がメンタルブロックになっているからである。

子ゾウを手なずけるとき、調教師はまず太くて頑丈な棒にくくりつける。子ゾウは逃げようとして必死に暴れるが、頑丈な棒はびくともしない。そうこうしているうちに、子ゾウは「棒を引き抜いて逃げるのは無理なんだ」と考えるようになる。そうなると調教成功で、大人になってからも「棒から逃げ出すことはできない」と考え続ける。これがメンタルブロックで、くくりつけているのが細い棒であろうと逃げだそうとしないのである。

この手段、ゾウを飼い慣らすときには有効であるが、我が身に置き換えてみると恐ろしくなる。メンタルブロックをかけたまま生きていると、困難そうに見えることに一切挑戦できなくなってしまうのだ。まだ先の長い受験生が、もしそんな状態に陁っているとすれば、一刻も早くその呪縛から逃れなければならない。

リスク管理と前向きな挑戦

もちろん、何でも取りかかる前に実現可能性をしっかりと検討するというのは、リスク管理という点で大切なことだ。しかし、この検討は、「あきらめること」ではなく、「どうすれば達成できるか」を考えるのが目的である。それは難関校への挑戦だって同じことだ。最初からあきらめるのではなく、どうすれば合格できるかをしっかりと検討して、積極的に挑戦してほしい。

「志望校対策」の極意――敵を知ると効率的な勉強ができる

受験のことをただのギャンブルと同じくらいに考えている人もいるようだが、これは大きな誤解である。そんなものでなんとかなるほど難関校受験は甘くない。たとえばギャンブルで使うサイコロは、特定の目が出やすい傾向があったりしてはいけない。しかし、入試問題というサイコロには、これがあるのだ。これが受験がただのギャンブルではないという理由で、実際に同じ範囲をきっちり勉強していても、出題傾向に合わせた対策をやっているかどうかで点の取りやすさは変わってくる。事前に同じような問題を数多く解いている人のほうが、解き方に慣れている分だけ点に結びつけやすいのは明らかで、だからこそ合格を確実にするためには志望校対策が欠かせないというわけである。

情報収集の重要性

志望校対策で重要なのは情報収集だ。過去問にあたったり、先輩たちから話を聞いたりというのが定番の方法である。情報社会だけあって、いまはネットなどを駆使することでいくらでも情報を集めることができる。ただし、こういうものの中にはトンデモ情報も多く混ざっているので、どれが有効かをしっかりと見極めないといけない。

自分で考える習慣をつける

なお志望校対策は、大学を受験する高校生レベルなら自分一人でもできるように工夫・努力をしてみてほしい。完全に自分一人で考えるのが不安であれば教師のアドバイスをもらえばよいが、何もかも任せきりではいけない。その先にある大学生活を充実したものにするためにも、ぜひ自分で考える習慣をつけてほしい。問題は中学受験に挑む小学生たちの場合で、彼らに志望校対策を自分でやらせるのは相当厳しい。信頼できる塾に任せるか、そうでなければ親が頑張って情報を集めて志望校対策用の勉強法を子どもに伝授するしかない。

中学受験における志望校対策の重要性

また、中学受験では学校の授業で教わったことだけでは解けない問題が平気で出される。いくら応用力のある子どもでも、限られた時間の中でこういう問題を解くのは難しいので、志望校対策をしているか否かで大きな差が出てしまう。我が子に中学受験をさせようと思っている親は、そのことをぜひ覚えておくべきだろう。

「弱点克服」の極意――「できない」を「人並み」にするのは簡単

苦手科目というのは誰にでもある。なぜ苦手になるかというと、まったく勉強しないか、やっていても中途半端な理解度で流しているからである。前者の場合は論外で、克服のためにはとにかくまずは勉強に手をつけるしかない。多くは後者の場合で、これは勉強のやり方を見直してみる必要がある。

中途半端な理解度の問題

中途半端な理解度というのは、要するに自分の頭の中でそのものの置き場所を整理できていないということだ。それまで蓄えた知識と有機的に結びつけることができず、扱いにくいものとして頭の中で放置されている状態である。当然、ここで理解する努力をやめてしまったならば、その知識は「よくわからないもの」のままである。人間の頭は「興味のないもの=いらないもの」と判断して、こういう情報を捨ててしまうようにできている。それなりに時間をかけているので、こういう扱いをされることだけは避けたいところである。

ステイラインまで引き上げる

ではどうすればいいか。考え方としては、わからないまま放置せず、理解のレベルを記憶として残るラインにまで押し上げるしかない。理解度を数値で表現するには難しいが、経験からいうと、第一章でも書いたよう八割程度の理解ができればほぼ大丈夫だ。そこが記憶の「ステイライン」、つまり定着の基準だからである。ここまでいくと、苦手科目とはいえなくなる。

「ただ八割になるまで勉強の量を増やせということじゃないか!」と思うかもしれないが、八割の理解度にするまでの勉強はそれほど難しいものではない。やはり前述したパレートの法則で考えると、完璧に仕上げる労力を「十」とすると、八割のラインに持ってくるための労力は早ければ「二」、かかってもせいぜい「五」程度だ。

もう一踏ん張りの重要性

苦手科目の克服は、せめてステイラインを越えるまで理解しようと努めることが大きなポイントになる。「一応やってはいるんだけど」という言い訳をよく聞くが、こういう人は「一応」のラインを見直したほうがいい。結果がともなわないのは、おそらくステイラインに乗せるまでには至っていないからだ。案外、あと少しの努力で結果が大きく変わってきたりするので、中途半端な理解で終わらせずにもう一踏ん張りしてみよう。

「心構え」の極意――執念を持て

開成時代は優等生から一転して劣等生になり、東大に合格したかと思えば入学後はパチスロにのめり込んでみたり、これまでの人生はかなり浮き沈みが激しいものであった。こんな私でも一つ自慢できるものがある。それはいつも一生懸命生きてきたということだ。

徹底的に極める姿勢

思えば大学生のときにパチスロにのめり込んだのも、これを徹底的に極めようと思ったからである。当時のパチスロは、データを分析すれば勝てるゲームだった。幸か不幸か受験勉強で頭を鍛えていた私にはパチスロ適性があった。しっかり研究すれば「必ず勝てる」とわかり、どっぷりとつかってしまったのである。

この姿勢は、自分では必ずしも悪いものだとは思っていない。のめり込んだのがパチスロだから悪かっただけで、別のものであれば毒が薬に変わることもあるからである。実際、この性格が幸いして、受験のときには三か月という短い期間の猛勉強で東大への奇跡の逆転合格を果たすことができた。

執念で奇跡を起こす

もちろん、いくら劣等生だったとはいえ、それまでの積み重ねはあった。それまでまったく勉強していなかった人が同じような奇跡を起こすのはさすがに無理かもしれないが、まわりの誰もが絶望的だと思っていた状況で、執念で東大合格を果たしたこの姿勢は誇れるものだと思っているし、ぜひ参考にして自らを奮い立たせる勇気にしてほしい。ふつうはメンタルブロックがかかってあきらめたくなるが、それでも「為せば成る」と信じていた。なおかつ実際に行動に移して猛勉強をしていたからこそ、奇跡を起こすことができたのである。

前向きな心と闘争心

受験では、こういう前向きな心や闘争心が大いに役立つ。家庭教師時代も含めて、これまで多くの受験生を見てきたが、その経験からいえることがある。合格判定が低かろうが、あきらめずに自分を信じて勉強を続け、まちがったときには心から悔しがりそれに真剣に向き合えるような闘争心あふれる人のほうが、やはり難関校に合格しやすいのだ。受験は執念を持って臨んだほうが、よりよい結果を得られやすいということである。自分を信じて最後まで絶対にあきらめることなく受験勉強に取り組んでほしい。

まとめ

第5章では、合格を確実にするための三つの極意として、「戦略的勉強」「志望校対策」「弱点克服」「心構え」が詳しく解説されている。メンタルブロックを取り除くこと、志望校の出題傾向を分析すること、弱点をステイラインまで引き上げること、そして執念を持って最後まであきらめないこと。これらはすべて、難関校合格を確実なものにするために欠かせない要素だ。合格判定が低くても、あきらめずに自分を信じて勉強を続け、間違ったときには心から悔しがりそれに真剣に向き合えるような闘争心あふれる人のほうが、やはり難関校に合格しやすい。保護者が子どもの学習をサポートする際の具体的な指針となる内容である。

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