難関校に合格する人の勉強法はいつの時代も同じ 第一章 難関校に合格する人の共通点

難関校に合格する人たちには、いくつかの共通点がある。それは生まれつきの才能ではなく、効率的な学習法を身につけ、学歴の価値を理解し、受験勉強の付加価値に気づいていることだ。限られた時間を有効に使い、自分なりのコツをつかみ、完璧主義に陥らず、勉強と青春を両立させている。そして、親が適切にサポートしていることも重要な要素となる。
この章の目次
素質がないと難関校に合格できないというウソ
東大合格に天才性は不要
イチローやマイケル・ジャクソンのような世界的スターになるには才能が必要かもしれない。しかし難関校に入るために、そこまで大きな才能は必要ない。東大の合格者は毎年3000人以上おり、全国で一番にならなくても入学できる。必要なことを効率的にこなす能力を高めれば、誰にでも東大への道は開かれている。
才能は努力で伸ばせる
効率的にこなす能力には若干の先天的な優劣があるかもしれないが、後からいくらでも伸ばすことができる。逆に努力を怠れば、才能があっても埋もれてしまう。開成中学で一位を獲得した著者自身が、高校で麻雀に夢中になり劣等生に転落した経験がその証明である。
やり方を変えれば結果は変わる
小学生時代に素質が高いとはいえなかった生徒が、中学受験の失敗を糧にやり方を改め、最終的に東大文Ⅰに合格した例もある。メリハリをつけ、計画的に学習を進めることで、誰でも成績を大きく伸ばすことができる。多くの難関校合格者は、ただ必要な勉強を効率的にやっただけなのである。
学歴なんて関係ないというウソ
学歴は自己投資の最良の手段
学歴があるかないかで、その後の人生は大きく異なってくる。勉強という投資は、株式や債券と異なり、見返りがはっきり示されていない。しかし長い目で見ると、最も利回りの良い投資である。大災害が起こって貨幣価値が暴落しても、身につけた知識が暴落することはない。
レベルの高い仲間からの刺激
難関校に入学すると、志の高い仲間に囲まれる環境が手に入る。優秀な友人たちとの切磋琢磨は、成績アップの上昇スパイラルを形成する。こうした人間関係は、卒業後も刺激し合えるよき友人として、人生を豊かにする財産となる。
チャンスを広げる力
著者自身、パチスロで年収1000万円を稼いだ経験があるが、出版の機会を得られたのは開成卒・東大卒という看板があったからだ。学歴社会が崩壊したといわれる現代でも、高学歴が持つ価値は依然として大きく、人生の選択肢を広げる力となっている。
受験勉強には付加価値がある
効率性を追求する習慣
サボりたがり屋で勉強嫌いだった著者は、効率的に勉強時間を圧縮して遊ぶ時間を確保していた。物事を効率的にこなす習慣は、社会に出てからも大いに役立つ。仕事で新しい知識を身につける際も、この習慣が活きてくる。
選択と判断の基盤となる知識
仕事は選択と決断の連続である。経営者として判断ミスは致命的だが、その判断のベースは人生で培ってきた知識と経験だ。深い見識がある人は選択の幅を広げ、正しい方向へと導くことができる。受験勉強は、この基盤を作る重要な機会となる。
本当に必要な勉強への集中力
その場しのぎの勉強しかしてこなかったツケは、後で挽回する必要がある。しかし、やるべきことを効率的にこなす習慣が身についていれば、本当に必要な勉強は何時間でもぶっ続けでできる。受験勉強の経験は、後の人生においても必ず生きてくる。
限られた時間の有効な使い方を知っている
要領の良さは評価されるべきもの
日本では勤勉が美徳とされるが、要領が悪いために汗水垂らして働くのは必ずしも良いことではない。短い時間で同じ成果を上げられるなら、そちらのほうが評価されるべきである。やるべきことをサクサク片付けて自由時間を確保することは、怠けではなく効率性の証明だ。
三か月で東大合格を果たした理由
著者は実質三か月で東大合格を果たしたが、これはそれまでの蓄積があったからだ。受験勉強に必要な時間は人によって異なるが、どんな人でも要領よくやれば勉強時間を大幅に短縮できる。逆に要領が悪いと、いくらでも時間がかかってしまう。
時間の使い方が差を生む
一日は誰にとっても24時間である。この時間だけは平等だが、その間に何をしたか、どれだけ有効に使ったかで差が生まれる。この自明なことを多くの人は認識していないが、難関校に合格する人の多くは気づいている。
勉強にコツがあることに気づいている
記憶のコツは後天的に習得できる
記憶力が良いのは先天的な才能ではなく、記憶のコツを無意識につかんでいたからだ。著者は開成中時代に一夜漬けで成績一位を獲得したが、後に自分のやり方が記憶術テクニックと共通していることがわかった。コツがわかれば、誰でも記憶の達人になれる。
自分流にアレンジする重要性
コツはそのまま誰にでも通用するとは限らない。自分流に多少アレンジしたほうが使いやすいことが多い。生真面目な人は伝授されたことをそのままやろうとするが、うまくいかないときは自分に合うようにアレンジすべきである。
成績が良い仲間の共通点
成績が良かった仲間たちは、みんなそれぞれ自分流にアレンジしたコツを持っていた。一夜漬けも「追い込まれてから頑張る」という自分の性格を利用した工夫の一つである。自分に合った学習法を見つけることが、成功への鍵となる。
完璧を求めるのは非効率的である
完璧主義の落とし穴
完璧主義的な性格は、やり始めたら最後まで突っ走る長所がある一方で、完璧にできないとわかるとすべて放棄してしまう短所もある。著者自身、高校時代にトップクラスから劣等生へと転落したのは、この完璧主義が原因だった。
パレートの法則を勉強に応用
全体の数値の大部分は一部の要素が生み出しているというパレートの法則は、勉強にも当てはまる。テストで50点の生徒を80点まで押し上げるのは比較的簡単だが、80点を100点にするには遥かに時間を要する。残りの2割を仕上げる時間は、8割に到達するまでより遥かに長い。
ステイラインと効率的な学習
8割程度の理解は、記憶として定着するかどうかの分かれ目となる「ステイライン」である。10割の状態を維持するのは受験までの限られた時間では無理だ。完璧を望まず、同じ時間で8割まで仕上げた科目を増やすのが効率的である。1科目100点より2科目80点のほうが、総合点は高くなる。
勉強をしながら青春を楽しんでいる
ガリ勉ではなく要領の良さ
開成や東大で見てきた友人には、いわゆるガリ勉はほとんどいなかった。オンとオフの使い分けができ、弾けるときは思い切り弾ける人間味あふれるタイプが多かった。彼らに共通するのは要領の良さで、必要なことを効率よくこなす能力に長けていた。
時間の余裕は心の余裕
余裕のない毎日は心に悪影響を及ぼし、人当たりも悪くなって周囲から敬遠されがちになる。時間の余裕は心の余裕につながり、余裕ある態度が周囲との関係を円滑にする。友人と遊ぶ時間を作ることで、相互に刺激し合える関係が築ける。
効率術は習得できる
時間を効率的に使うには多少の才能や性格が関係するかもしれないが、心がけと努力次第で効率術の達人に近づける。そのメリットを実感できれば、それがモチベーションとなり、さらに達人に近づく好循環が生まれる。
親がサポートの重要性を理解している
年齢に応じた親の関わり方
中学受験は親との二人三脚だが、高校受験、大学受験と進むにつれて親の役割は小さくなる。大学受験で何でも親に依存しているようでは、難関大学合格は難しい。しかし、親が正しい知識を持ってサポートすることは、子どもにとって大きな力となる。
親の影響力の大きさ
塾の経営者として多くの子どもを見てきた経験から、親の影響力は思いのほか大きい。受験勉強に対する捉え方も、子どもは親の考え方の影響を強く受ける。付属中学受験で「合格すればずっと楽ができる」と考える子どもは、親の思いを代弁しているにすぎない。
長期的視点でのサポート
有名私立大学の学歴を得ても、人生が安泰になる時代ではない。学歴のメリットを強調して子どものモチベーションを上げるのは良いが、受験勉強の付加価値や社会に出てからの現実も教え、努力の大切さを納得させながらサポートすべきである。近視眼的な発想ではなく、長期的視点で子どもを導くことが重要だ。
まとめ
難関校に合格する人たちは、才能ではなく効率性を武器にしている。学歴の価値を理解し、受験勉強を通じて選択力や判断力といった付加価値を獲得している。限られた時間を有効に使い、自分なりのコツを見つけ、完璧主義に陥らず8割を目指す。そして勉強と青春を両立させながら、人間関係も大切にしている。保護者は、子どもの成長段階に応じて適切にサポートし、長期的視点で努力の意味を伝えることが求められる。これらの共通点を理解し実践することで、誰でも難関校合格への道を切り開くことができる。