子どもに怒る親が招くこんな泥沼
みなさん
おはようございます。
個別指導塾テスティー塾長の繁田和貴です。
この記事、実は
意外と中学生以上のお子さんがいらっしゃる方にも
熱心に読んでいただいているということがわかりました。
お兄ちゃんお姉ちゃんがいるパターン以外にも、
中学受験終了後も引き続き読んでくださっている方とか。
今回は、小学生はもちろん、
むしろ中学生以上のお子さんの行動で
親御さんが悩みがちな話をテーマにしたいと思います。
以前の記事で、
「朝8時起き+朝の散歩」というルーティンが、
自分のパフォーマンスを高めてくれると気づいた話をしました。
しかし、ひとたび生活が乱れ始めると、
1週間にわたって朝起きれないという悪循環が発生したことも、
その記事の中で白状しました(笑)
実は昔から私、そういう悩みがありまして。
たとえば高校時代、麻雀にハマっていた時。
「このままじゃダメだ!」
と思いながらもずっとやめられなかったことがありました。
当然成績は急降下です(結局浪人と相成りました)。
また、社会人になって、「お酒の飲みすぎ」に気づいた時。
起きたら気持ち悪くて「今日は休肝日だ…」と思っていたのに、なぜか夜は飲み会に。
「せめて今日は2杯までにしておこう」と誓って飲み始めるも、
気がついたらワインを1本あけていることもあったりします。
ダイエットやタバコで、
同じような経験をされている方もいらっしゃるかもしれませんね。
このように、
「本当はやめたほうがいいこと」をなかなかやめられなかったり、
逆に「本当はやったほうがいいこと」をなかなかやれなかったりするのは、
多くの中学生・高校生の保護者の方から相談される話です。
もちろん、中学受験生の保護者の方からも。
しかし、意志力を必要とすることは大人でも失敗するわけですから、
子どものことばかり責めるわけにはいかないですよね。
そこで先日、自分自身の改善のためにも、
ケリー・マクゴニガルの『スタンフォードの自分を変える教室』という本を読みました。
そこにはこのように書かれていました。
—
前の晩飲みすぎたせいでひどく落ち込んだ人ほど、その日の夜も、また翌日の夜も飲みすぎてしまいます。罪悪感の反動で、飲まずにはいられないのです。
これぞ、意志力にとって最大の脅威のひとつ「どうにでもなれ効果」です。
ダイエット研究者のジャネット・ポリヴィとC・ピーター・ハーマンが最初に使ったこの「どうにでもなれ効果」という言葉は、 はめを外して、落ち込んで、さらにはめを外すという悪循環を表しています。
研究者たちが気づいたのは、ダイエットをしている人の多くはちょっとつまずいただけでものすごく落ち込んでしまい、 もうダイエットなんかムダだとあきらめてしまうことでした。
ダイエット違反を最小限に食い止めたいなら、あとひと口だって食べないほうがいいのに、開き直ってしまいます。 「もういいや、どうせダイエットなんかもうパーだもん。こうなったら全部たべちゃえ」
—
あまりにも心当たりのある話すぎて、思わず笑ってしまいました。
まさに私が禁酒に失敗するときはこの思考回路です。
そしてこの文章の中で注目すべきは、「落ち込んで」の部分です。
私も飲みすぎて起きれなかった翌朝は落ち込んで、自己嫌悪に陥っています。
しかし本書によれば、それが失敗を加速させるのだそうです。
「誘惑に負けて、自己嫌悪に陥ると、気晴らしに何かをしたくなる。
ではその時に手っ取り早い気晴らしの方法は?
それは落ち込む原因をつくった、まさにそのものだったりします。」
これは恐ろしい真実だと思いました。
本来、ちょっとつまずいたからといって、
それが即、大きな失敗につながると決まっているわけではありません。
危険なのは、最初につまずいた時に自分を恥じたり、後ろめたく思ったり、
自制心をなくしたり、希望をなくしたりすること。
そのように本書では説かれています。
なかなかゲームをやめられない子。
なかなか勉強に取り掛かれない子。
なかなか嘘つきがなおらない子。
みんな、実は心の中で罪悪感を抱えているケースがほとんどです。
そんな気がしませんか?
では、どうすればこの「どうにでもなれ効果」が緩和されるのでしょうか?
こんな実験がおこなわれました。
ダイエット中の女性を集め、
科学の実験の名のもと、ドーナツなどのお菓子を2回にわたって食べさせます。
1回目の実験では、参加者全員が、同じ量のお菓子を食べさせられます。
そして1回目と2回目の間に、
被験者のうち半数には、罪悪感を和らげるような温かい言葉をかけます。
残りの半数には特に何の言葉もかけませんでした。
2回目の実験は、
単に試食して「味」を評価してほしいという内容のもので、
食べる量は被験者にゆだねられていました。
この試食がすんだ後、
2つのグループで2回目に食べたお菓子の量を割り出しました。
すると、温かい言葉をかけられたグループが28グラムだったのに対し、
そうでなかったグループは70グラムも食べていたことがわかりました。
この結果には多くの人が驚いたそうです。
たしかに、罪悪感を和らげる言葉で、
「誰だって時には自分を甘やかすこともあるんだから、あまり自分に厳しくしないで」
などと言われたら、ダイエット中だろうがもっと食べたくなってしまいそうです。
しかし、罪の意識が取り除かれたことによって、
その女性たちは2回目の試食で食べ過ぎることはなかったのです。
「宿題をやらない」「約束を守らない」「遊びから帰ってこない」…など。
子どもがやらかした時に、怒ってしまっていませんか?
実はその行動が、子どもの罪の意識を強化し、
「どうにでもなれ効果」を誘発してしまっている可能性があります。
「さらに宿題をやらない」「いっそう約束を守らない」「もっと遊びから帰ってこない」
という結果を招いているかも。
本の中では、
“なぐさめの言葉で「どうにでもなれ効果」が緩和される”
とまとめられています。
なぐさめの言葉は、共感の言葉ともいえるかもしれません。
ぜひ、お子さんへの声掛けの参考にしてみてくださいね。
お酒を飲みすぎちゃった時も、
良いとわかっている朝のルーティンができなくなっている時も、
私の中で「どうにでもなれ効果」が発生してしまっていたんですね。
次にうっかり飲みすぎた時は、
自分自身を責めることはせず、
なぐさめの言葉を自分にかけてみようと思います(笑)
それでは!