【解答速報】2014年 開成中学校 算数(解説つき)大問3
こんにちは! 下高井戸・久我山・西永福の個別指導塾TESTEA(テスティー)塾長、繁田和貴です。
平成26年度の開成中算数の解説其の2(大問3)です。
<以下、解説です>
【3】開成お得意の「数の汚い」時計算。 慣れ親しんだ普通の「24時間、60分、60秒」の時間感覚に引きずられないようにして、(2)までは正解したい。
(1)時計盤の小さな目盛り1つは360÷25=14.4° 長針は1分で目盛り1つぶん進むので14.4°/分 短針は5分で目盛り1つぶん進むので2.88°/分 図の午後2時5分0秒の時点で、長針と短針はちょうど6目盛りぶんの14.4×6=86.4°離れているので、時計算の要領で計算すると、長針と短針が重なるのは、 86.4÷(14.4-2.88)=7.5(分後)ということになる。 ここで注意したいのは、1分=25秒であるということ。 つまり半端な0.5分は、12.5秒なので間違えないようにしたい。 午後2時5分0秒の7分12.5秒後なので、答えは午後2時12分12.5秒となる。
図は、3つの針が真下の方向にきれいに重なった形になる。 短針、長針、秒針のそれぞれの速さを考えなくても、 ・12.5秒は、秒針1周25秒の半分である→つまり秒針が半周した状態(秒針が真下を向く) ・12分12.5秒=12.5分 は、長針1周25分の半分である→つまり長針が半周した状態(長針が真下を向く) 12.5分は2時と3時のちょうど真ん中→短針は2と3のちょうど真ん中(短針が真下を向く) こんな風に考えても良い。
(2)反対向きになるということは、(1)の状態からさらに長針が短針を180°引き離せばよい。 180÷(14.4-2.88)=15.625(分後) ※帯分数をうまくブログ上で表現できないので小数で書いていますが、実際には分数で計算した方がスムーズかもしれません。私が解いた時にはそうしました。
時間の繰り上がりに注意して計算すると、 2時12分12.5秒+15.625分 =2時12.5分(←いったん分に直した方がミスしない)+15.625分=2時28.125分=3時3.125分 3時3分と、半端な0.125分は25×0.125=3.125秒なので、 午後3時3分3.125秒が答えとなる。
図は、これもそれぞれの針の進む速さから考えても良いし、「1周のどれくらい」という考え方をしても良い。 3.125が25の1/8だということに気づけば後者のやり方の方が速いか。
★途中、「時間の繰り上がりに注意する」とサラッと書いたが、ここがこの問題のキモいポイントなので間違えないよう注意。普段の時間感覚を取っ払う必要アリ。
(3)捨て問。今回の入試問題で唯一、所要時間と正解確率と配点が見合わないであろう問題。
とりあえず、3本の針が重なるのは、どういう周期で訪れるだろうと考える。
(1)→(2)への動きを見て、これがヒントになっていることに気づきたい。 (1)と(2)の図を見比べると、長針と短針が重なった状態から180°離れるまでの間、 短針が45°進む間に、長針は225°進み、秒針は(見かけ上)225°進んでいる。 さらにあと180°長針が短針より多く進むと再び重なるわけだが、 その間短針はさらに45°進み、長針は225°進み、秒針は225°進む。
つまり(1)の状態(重なっている状態)から考えると、 短針が90°進み、長針が450°進んだことで360°差になり、再び短針と長針が重なったわけである。 そしてその時、なんと秒針も(見かけ上)450°進んでくれているではないですか。
解く前には、 「どーせ長針と短針が重なるうちの何回かに1回しか秒針は重ならないんだろう。めんどくせー」 と思いきや、なんと長針と短針が重なる時、秒針は必ず重なってくれる。Oh Yeah!
…というわけで、(1)の状態を1回目とした時、100回目に長針と短針が重なる時を求めればよいので、(1)の360×(100-1)÷(14.4-2.88)=3093.75(分後)が答えとなる。 ※注 極力計算の工夫をして、ミスをしないように。この式でストレートに計算するより、(2)で計算した180÷(14.4-2.88)=15.625を活かすのが賢明。割られる数の360×99は、180の 2×99=198倍なので、15.625を198倍すれば答えが出る。分数なら125/8を198倍すればいいのでもう少し計算が楽か。
よって求める時刻は、 2時12.5分+3093.75分=2時3106.25分
1日は10×25=250分なので、とりあえず3000分(250×12日)だけよけると、 12日後の、午後2時106.25分となり、あとは、 →12日後の、午後6時6.25分 →13日後の、午前1時6.25分 →13日後の、午前1時6分6.25秒 となる。
★開成では4~5年に1回時計算が出る。それも結構計算のめんどくさいのが。 計算力と自らの解法への自信が求められるので、しっかり練習しておきたい。 しかし4~5年に1回というのはあくまで過去の話。意表をついて来年また出してくるかもしれないので注意。
※(3)別解 一般的な受験生は、おそらく上記の方法で解いた生徒がほとんどだと思うが、この問題は以下のように考えることもできる。
長針と短針に180°の差がつくのに125/8(15.625)分かかるので、360°の差がつく、つまり重なっている状態から次に重なるまでにはその2倍の125/4分かかる。 1回重なるまでに125/4分ということは、4回重なるまでに125分ということ。分数で考えていると、このことが直感的にわかりやすい。
125分というのは… そう、この問題では半日である。 つまりその倍は1日であり、1日でちょうど4回の倍の8回重なることがわかる。
100回目というのは、(1)の99回後。 99÷8=12…3 より、 (1)のちょうど12日後にあたる午後2時12分12.5秒が1+8×12=97回目となり、 その3回後、125/4×3=375/3(分後)が求める時刻となる。
こう考えれば、あまり大きな数の計算はしなくてすみそうだ。
※※この問題は1日が10時間になったり1時間が25分になったりしているが、1時間で長針が一周し、半日で短針が一周するという動き方は、慣れ親しんだ普通の時計と変わらない。 そして普通の時計においては、盤面の12で長針と短針が重なっている状態の後、同じく12で長針と短針が重なるまでの半日で長針と短針が11回重なる。 このことから着想すれば、この問題もそれと全く同様に、盤面が5までしかないので半日で5-1=4回重なると考えることができるが、さすがにこれを試験時間の中で気づくのは難しいかもしれない。秒針についても気になっちゃったりするだろうし、正直この問題を限られた時間内に解くのは非常にストレスフル。 だからやっぱり、この問題は捨て問なのである。