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本郷中学校・国語入試対策ガイド(保護者向け)

本郷中学校 国語入試 対策ガイド


本郷中学校の国語入試は、長めの文章読解と記述問題を含むバランスの取れた問題構成が特徴です。本ガイドでは、志望校として本郷中を目指す受験生の保護者の方に向けて、国語入試の出題傾向や難易度、記述力の重要性、物語文・論説文それぞれの対策ポイント、そして効果的な学習法について解説します。お子さんの傾向に合わせた対策を立て、合格に必要な力を効率よく身につけるためのヒントをまとめました。

1. 出題傾向と難易度

本郷中の国語入試は例年、大問3題で構成されています。その内訳は漢字の読み書き問題1題、論説文(説明文を含む)の読解1題、物語文(小説を含む)の読解1題というのが定番です。配点は100点満点、試験時間50分と設定されており、文章量は全体で9,000~10,000字程度とかなり多めです。そのため、時間内に長文を読み切り、設問に答える読解力とスピードが求められる試験となっています。

設問形式はバリエーションに富んでいますが、記号選択肢問題や文章中からの抜き出し問題が多く出題されます。加えて、毎年数題の記述式問題(およそ60~90字程度)も出題されるため、記述力も問われます。漢字の出題は大問1で5問程度(読み書き両方)出され、同音異義語や同訓異字などを正確に覚えているかを見る問題が多い傾向です。漢字問題自体の難易度は高くないため、確実に得点すべき分野と言えます。

読解問題では、論説文と物語文という異なるタイプの文章が出題されるのが特徴です。論説文・説明文では題材に社会・歴史・科学・自然など幅広いテーマが扱われ、物語文・小説では小学生と同年代の少年少女が主人公の作品が比較的よく選ばれています。ただし毎年必ずしも易しい内容ばかりではなく、専門用語が多く含まれる難解な文章が出ることもあり、そうした場合には文章を読み慣れていないと苦戦するでしょう。実際、学校側も「文章は小学生にはやや歯ごたえのあるものを選んでいる」と公言しており、難しい内容に触れても対応できる読解力が求められます。

難易度については、合格者の平均得点が概ね6割強(60%以上)となっており、極端に難しすぎる試験ではありません。むしろ基本的な問題を確実に取りこぼさず解けるかどうかが合否を分ける傾向にあります。特に本郷中の国語では文章中から答えを抜き出すタイプの設問(抜き出し問題)の比率が高いことが特徴で、これらは文章内容の理解度がそのまま得点に直結します。したがって、国語が苦手な受験生にとっては厳しく感じられるかもしれませんが、裏を返せば的確に読解できれば確実に得点できる試験とも言えるでしょう。

全体として本郷中の国語入試は、毎年大きな傾向の変化がありません。問題の難易度や形式が安定している分、対策も立てやすく、過去問演習によって出題パターンに慣れておくことが可能です。長文読解で時間との闘いになる反面、設問数そのものはそれほど多くない(漢字以外の設問数は合計で15~20問程度)年もあります。時間配分に大きな余裕はないものの、文章をじっくり読めば解き終えられる分量と言われています。要は、焦って速読するよりも丁寧に本文を理解し、根拠をもって選択肢や記述の答えを導き出す慎重さが要求される試験なのです。

2. 記述力の重要性

本郷中の国語では、毎年必ず複数の記述式問題(自由記述)が出題されます。記述問題の字数は年によって様々ですが、短いもので30字程度、長いものでは80~100字程度に及ぶこともあります。100字前後の記述は、他校と比べても比較的長めと言えるため、自分の考えをまとめ、日本語の文章として表現する力が非常に重要になります。

ただし注意すべきは、本郷中の記述式問題が評価しているのは「独創的な発想」や「文章表現の巧みさ」ではないという点です。学校側は記述問題を通じて見たい力について、「設問の意図・要求を正確に把握し、問題文(本文)の中から必要な部分を抜き出して、それを設問に沿う形で編集し言い換える力」であると明言しています。要するに、本文のどの情報が問われているかを見抜き、それを自分の言葉できちんとまとめて答える能力が重視されるのです。

このため、記述問題に取り組む際にはまず設問をよく読み、何を聞かれているのか(人物の心情なのか、筆者の主張なのか等)を正確に捉える必要があります。その上で、本文中の該当箇所を探し出し、必要な要素を抜き出して、自分の言葉で要領よく文章にまとめましょう。記述答案を書く際は文末まできちんと書ききることも大切です。実際、解答が文の途中で終わってしまっている場合には採点で0点となると学校説明会で言及されています。書き出しから結びまで、一つの文章として完結する形で答える練習をしておきましょう。

記述問題では部分点も期待できます。学校発表によれば、多くの受験生が記述に対して積極的に取り組んでおり、合格者はあきらめずに最後まで書いて少なくとも部分点を獲得している傾向があったとのことです。逆に言えば、白紙や極端に短い解答では得点のチャンスを逃してしまいます。多少不完全でも良いので、問いに対して考えたことを文章にする姿勢が肝心です。なお、本文の言葉をそのまま継ぎはぎしただけの解答よりも、自分なりに要点を整理して書けている解答の方が高い評価を受けています。お子さんには、単に写すのではなく自分の言葉で言い換えて書く練習を積ませるようにしましょう。

記述力を鍛えるには日頃からの練習が不可欠です。例えば、読解演習で本文の要旨や登場人物の気持ちをまとめる問題に積極的に取り組ませたり、模範解答と比べて表現や要点のずれを確認したりすると効果的です。記述問題は配点も高い傾向がありますから、ここでの得点が合否を左右し得ます。「記述が書けない」という苦手意識をなくし、記述問題はチャンス問題と捉えられるくらい対策を重ねておきましょう。

3. 物語文の対策

物語文(小説)の読解では、登場人物の心情把握が頻出の設問となっています。本郷中でも物語文の読解ではほぼ毎年、主人公や登場人物の気持ちの変化や心情の理由を問う問題が出されています。「なぜ主人公はそのような気持ちになったのか」「その時どんな心境だったか」といった問いに答えるためには、本文中の描写や会話からヒントを読み取る力が必要です。

物語文対策としてまず大切なのは、ストーリー全体の流れを把握することです。読み進める中で出来事の順序や因果関係に注意を払い、前後の展開を追いながら理解しましょう。特にクライマックスに至るまでに主人公にどのような変化が起きたか、その原因と結果を整理しておくと、問われた際に答えやすくなります。

  • 物語の展開と出来事の因果関係を押さえる(何が原因で何が結果か)
  • 場面ごとの情景描写や会話から、登場人物たちの置かれた状況を読み取る
  • 登場人物の表情・セリフ・独白などから心情の変化を汲み取る

上記のポイントに沿って読む訓練を積むと、物語文の読解力が向上します。例えば、お子さんと一緒に物語を読んだ後、「このとき主人公はどんな気持ちだったかな?」「どうしてそう感じたのかな?」と問いかけてみるのも有効です。本文中の根拠となる箇所を探しながら答えさせることで、心情を言葉で表現する練習にもなります。家庭での会話を通じて人物の気持ちを推察する習慣をつけておくと、本番でも文章中の手がかりに気づきやすくなるでしょう。

物語文では、設定や世界観にお子さんが入り込みすぎて自分の感想を述べてしまうことがあります。しかし、入試で求められるのはあくまで客観的に文章を読み取る力です。お子さん自身の感想ではなく、筆者(作者)が表現した登場人物の気持ちを正しく読み取るよう指導しましょう。本文に書かれていない想像を膨らませすぎず、与えられた文章の中から答えを導く姿勢が大切です。また、物語のテーマや教訓につながる部分にも目を向けると、人物の心情理解が深まり、記述問題で理由を説明する際にも説得力が増します。

4. 論説文の対策

論説文(説明文を含む)の読解では、筆者の主張や論点を正確に把握する力が求められます。本郷中の論説文問題でも、筆者の意見の要旨や文章全体の論旨構成を問う設問が頻出です。まずは文章全体を通して何が言いたいのかをつかむために、各段落の役割(導入・具体例・結論など)を意識しながら読む習慣をつけましょう。

加えて、論説文では細部の情報の正確な理解も重要です。文章中の事実関係やデータ、筆者が用いたキーワードの定義など、細かい部分をおろそかにせずチェックしてください。設問では段落と段落のつながりや論理の飛躍がないか、といった論理構造を問うものや、指示語(それ・これ 等)が指す内容を尋ねるものがよく出ます。日頃から説明的な文章を読む際は、「指示語が指す内容を置き換えてみる」「段落ごとに要点をひと言でまとめる」といったトレーニングをすると効果的です。

  • 筆者の主張・論点を見失わない(各段落の要旨を簡潔に押さえる)
  • 論説の構造を意識する(文章全体の流れを図解するイメージで把握する)
  • 事実やデータなど細部の情報も正確に読み取る(本文内の根拠に忠実に)
  • 重要な用語は言い換えながら理解する(語彙力を高め、内容を自分の言葉で整理する)

上記のようなポイントを意識して読解練習をすることで、論説文を読み解く力が養われます。筆者の主張を100字程度で要約する練習も有効です。実際に要約を書いてみると、文章内容の理解度を客観的に確認できます。また、論説文では設問で正誤判断や選択肢問題が出ることがありますが、その際は必ず本文に立ち返って根拠を確認するように指導しましょう。選択肢の文章が長文で紛らわしいケースもありますが、本文と照らし合わせて内容が正しいかどうか判断する習慣をつけておけば動揺せず対処できます。

選択肢問題への対策としては、表現の微妙な違いに注意を払うことがポイントです。本文に出てきたのと同じ表現が含まれている選択肢が必ずしも正解とは限りません。本文の言葉をそのまま使っていても文脈が異なれば誤答になりえますし、逆に本文にない言葉を使っていても意味が合致していれば正解となる場合もあります。日頃から類題演習で「なぜその選択肢が正解(または不正解)なのか」を本文のどの記述に基づいて説明できるようにしておくと、本番でも落ち着いて対応できるでしょう。

最後に、論説文読解ではお子さん自身の意見や感想は一旦脇に置き、筆者の立場に立って考えるよう促してください。文章中の事実と筆者の考えをしっかり区別し、客観的に読み取る訓練が必要です。例えば環境問題について書かれた文章であれば、まず筆者がどう主張しているかを捉え、その上で自分の意見との違いに気づく、という読み方をします。設問では筆者の考えを問われるのであって受験生自身の意見は不要である点を、改めてお子さんに理解させておきましょう。

5. 効果的な学習法

以上の傾向と対策を踏まえ、志望校対策として有効な学習法をいくつか挙げます。保護者の方がお子さんの学習計画をサポートする際の参考にしてください。

  • 過去問演習を徹底する: 本郷中の国語は傾向が安定しているため、過去問演習が極めて有効です。最低でも直近3年分、可能であれば5年分以上の過去問に取り組み、出題パターンや時間配分に慣れましょう。解きっぱなしにせず、間違えた問題は解説を読み込み、なぜ誤答したのかを分析して次に活かすことが大切です。特に記述問題や抜き出し問題の解法は反復練習で定着させておきます。
  • 読書習慣を継続する: 日々の家庭学習において読書の時間を確保してください。様々なジャンルの文章に触れることで、難解な話題の文章に対する抵抗感が薄れ、背景知識も蓄えられます。本郷中の先生も「毎日読書をしてほしい」と述べています。長めの物語や評論文を読む習慣をつけておくと、入試本番でも集中力を維持しやすくなります。読んだ文章の内容を家族に話してもらうなど、アウトプットの機会も設けると尚良いでしょう。
  • 漢字・語彙の基礎力強化: 漢字の出題は日頃の地道な学習の積み重ねが得点に反映される分野です。難しい漢字が狙われるわけではありませんが、同音異義語や熟語の意味など基礎的な知識を確実にしておく必要があります。毎日の漢字練習を欠かさずに行い、漢字ドリルや過去問の漢字問題で間違えたものは書き取りノートを作って復習しましょう。また語彙力も読解力に直結します。知らない言葉が出てきたらその都度意味を調べ、使い方も含めて覚えるようにすると、文章内容の理解がスムーズになります。
  • 要約や記述の練習: 記述力向上のため、文章要約や記述問題の練習を取り入れましょう。例えば塾のテキストや市販の問題集にある要約練習問題を活用し、読んだ文章の要旨を50~100字で書いてみる訓練がおすすめです。要約練習は論説文対策になりますし、物語文でも段落ごとに簡潔にまとめる練習は有効です。保護者の方はお子さんの書いた要約や記述解答を読み、要点がずれていないかチェックしてあげてください。第三者に伝わる表現になっているかを確認することで記述答案の完成度が高まります。

この他、志望校別特訓や模擬試験などで本郷中レベルの問題に触れておくことも有効です。特に本郷中の過去問は繰り返し解くことで「また似たような問題が出た」と感じることも多いようです。出題形式に慣れ、自信を持って本番に臨めるよう、早め早めに対策を積み重ねていきましょう。

6. まとめ

本郷中学校の国語入試は、長文読解力・記述力・語彙力といった国語の総合力が問われる良問揃いの試験です。出題傾向は毎年ほぼ一定であり、演習を通じて着実に対策を講じることで十分に合格点を狙えます。保護者の方は、本ガイドで挙げたポイントを参考に、お子さんの弱点強化と得意分野伸長のバランスを取りながら学習計画をサポートしてあげてください。

長文に圧倒されないための読書習慣づくり、確実に得点するための漢字・語彙の定着、そして記述問題で点を落とさないための練習など、コツコツとした積み重ねが合格への近道です。幸い、本郷中の国語は対策を立てやすい試験ですので、焦らず計画的に準備を進めていきましょう。お子さんの努力が実を結び、入試本番で持てる力を十分発揮できることを願っています。

最後までお読みいただきありがとうございます。適切な対策と十分な練習により、本郷中学校の国語入試で合格点を勝ち取れるよう、親子二人三脚で頑張ってください。

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