微積物理って何?初学者でもわかる微積物理入門【大学受験】
こんにちは、テスティー自由が丘校です。
「物理」は高校から本格的に学習が始まり、苦手な人も多いと思います。
理科は好きだったけど物理は…なんて方も少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、「微積物理入門編」と題して、物理と数学の関係についてお話しできればと思います。
目次
受験物理に微積分は必要?
受験生向け微積物理入門
おすすめ参考書・問題集
まとめ
受験物理に微積分は必要?
微積物理について
いきなりですが、”微積物理”という言葉を聞いたことがありますか?
理系の方であれば聞いたことがある人もいると思います。
意味としては「物理法則を表す数式に対し微積分を使うような解き方」
という意味ですね。
あれ、高校物理って微積分使わないんだっけって方向けに少し解説しますと
高校物理では、「文系の学生でも十分な学習ができるよう基本的に微積分を使わない説明」になっているんですね。
もちろん、微積分を使わないだけであって、本質的には変わらないのですが上記の関係上なんかよくわからないがこうなるらしい、みたいな話が多かったりします。
しかし、理系の学生はこれで満足することはないわけで、微積分を用いた解き方をしたいって人が一定数います。
そうすると、ある種の派閥みたいなものができるんですね。
微積分を使わない物理は物理でないと主張する人、別に使わなくても問題ないという人。
まるで宗教みたいな話ですが、このような話が実際にあります。
微積物理を使うかは結局のところ人による
当たり前といえば当たり前ですが、こんなものは人によるとしか言いようがありません。
教科書の説明で満足できないのであれば、自分で大学生向けの教科書を見てみたり、ネットを探すのが適切です。
しかしながら、難関大の受験を考える受験生であれば知って損することはありません。
大学受験で使うような話であれば、そもそもそこまで難しい話がないからですね。
しかも、大学によっては実質的に微積分を用いた導出を行わせる問題も見受けられます。
こういった際に、知っているのと知っていないのでは雲泥の差になります。
次の章では微積物理入門編として実際に関係性を見てみましょう。
受験生向け微積物理入門
速度と加速度
いきなりですが、皆さんは速度と加速度の定義をしっかり言えますか!?
正解は
速度:単位時間あたりに変化した位置の量
加速度:単位時間あたりに変化した速度の量
です。
これを数式として表現することを考えてみましょう。
速度・加速度どちらでも「単位時間あたり」というワードが出ています。
単位時間とははその議論で使われる時間の基準ですが
ちょっと抽象的なワードですので、一分あたりや一秒あたりって感じで捉えてください。
この単位時間に対して変化した位置の量や速度の量が速度、加速度になるわけですから
変化した時間をΔt、変化した位置の量をΔx、速度の量をΔv、速度をV、加速度をAとすると
V = Δx/Δt [m/s]
A = Δv/Δt [m/s^2]
と表せます。
微小量への概念の拡張
さてこれで定義式が書けたのかと言いますと、これでは不十分です。
というのも、Δでは大雑把すぎるからですね。
仮に大きい範囲を取った場合、それを定義として採用するのは問題があります。
なので、限りなく小さい値を定義として扱えば問題なさそうです。
そこで、Δを0へ近づける極限を取ることによりVとAは
V = dx/dt [m/s]
A = dv/dt [m/s^2]
と表せます。
これを数学的に捉えると、速度は位置の時間微分、加速度は速度の時間微分
となります。
教科書ではここまではっきりとした言い方をしていないはずですが、似たようなことは言ってます。
とにかく、これで速度と加速度の定義ができました。
次は運動方程式について考えてみましょう。
運動方程式
Newtonによると、質量mの物体に対し、力Fを加えると加速度aが発生すると言われています。
なんか難しい話ですが、簡単にいうと力を加えれば加速しますよねって言いたいわけです。
これを数式で表すと
F = ma [N]
となり、この式のことをニュートンの運動方程式と呼んでいます。
力というわかりやすいようでわかりにくい概念がこれによって定量的に考えることができるようになるんですね。
この式によって「力」が定められたのか、この式を満たすようなものを「力」と捉えるかはなかなか哲学的で面白いと思うのですが今回は割愛します。
ところで、先程速度と加速度の定義をしました。
これを運動方程式に当てはめると以下のように書けます
F = m ・ dv/dt [N]
= m ・ d^2x/dt^2[N]
もちろん同一の意味なのですが、これにより深い議論ができるようになるんですね。
なぜ深い議論ができるのかについては次でお話します。
微分方程式
なんだか難しそうなワードが出てきましたね。
微分方程式とは、未知量が微分された形で表されている方程式のことです。
ちょっとわかりにくいですね。
具体例を簡単に挙げると
V = dx/dt
と表されているような場合、これを満たすようなxを求めたいよねって話です。
勘のいい人はここで気がついたかもしれないんですが
先程紹介した運動方程式は微分方程式の一種なんですね。
また、運動方程式に限らずあらゆる物理現象は微分方程式で表されることが多いです。
この微分方程式が解けると、ある物体の位置xが時間tの関数として出てきます。
つまり、位置xの予測が定量的にできるわけですね。
なので、微分方程式が解けると非常に嬉しいのです。
しかしながら世の中は残酷なもので、実際のところ解ける微分方程式はそこまで多いわけではありません。
なので、近似したりして求めることが多いのですが、大学受験においては心配ありません。
大学受験では解ける微分方程式しかでないからですね。
具体例としては速度に関する問題や、単振動、回路の電気振動(本質的には単振動)などです。
いずれも簡単な知識があれば解けるので知っておくと武器になると言えます。
次は単振動の方程式の解き方について見てみましょう。
単振動の方程式
単振動の運動方程式を確認してみましょう。
ばねの自然長を原点にとり、ばね定数をkとすると、小物体(質量m)の運動方程式は
m ・d^2x/dt^2 = -kx
と表せますね。
このときのxがどうなるかを求めたいわけですが、簡単に積分すれば求められそうにないことはわかると思います。
このような、求めたいxが二回微分されていて、xの一次式で表されているような微分方程式のことを二階同次線形微分方程式といいます。
難しい言葉ですね。
言葉は難しいですが解くのは難しくありません。
というのも、これには一般解とよばれるものがあるからです。
一般解とは読んで字の如く、一般的な形で解がわかっているということです。
つまり、xにその一般解を入れれば求めることができるということですね。
では単振動の方程式の一般解を紹介します。
単振動の一般解
x = Csinωt + Dcosωt (C,Dは任意定数)
となります。
なぜこの形が一般解なのかは難しい話なので、ここでは割愛をしますが、これを代入すれば求めることができるという優れものです。
定数が二個あるので、初期条件を2つ考慮する必要がありますがそれは問題文で与えられるので大丈夫です。
詳しい解き方はここでは紹介をしませんが、おおよその流れが分かれば問題ないかと思います。
おすすめ参考書・問題集
ここまで微積物理のお話をしてきましたが、このような内容を扱っている参考書を一部紹介します。
新物理入門
駿台文庫から出ている新物理入門です。
これは難関大受験生に愛用されている教科書と言っても過言ないと言えます。
しかし、内容が高校の物理から逸脱しているのも事実であり、物理好きな人以外が買ったら痛い目を見るかもしれません。
ぶっちゃけ大半の人は大学入学以降にお世話になると思います(筆者もそうだった)。
理論物理への道標
こちらは河合塾シリーズより出版されている書籍になります。
上巻下巻の二冊で構成されていて、理論的な説明から始まり、例題には東大の過去問等が扱われているなかなかハイレベルな参考書になります。
サイズがA4程度あるのでやや大きいのがネックですが、しっかり物理をやりたい受験生にはいい参考書なのかなと感じます。
個人的にはコラムが面白くて、問題そっちのけで見てましたね。
体系物理
最後に紹介したいのが教学社から出版されている体系物理です。
こちらは参考書ではなく問題集なのですが、コンセプトが問題を解くことで物理の知識が体系的に身につくというもので非常に素晴らしい問題集だと思っています。
問題内容は主に物理法則の導出がメインで、いずれの問題も誘導がしっかりついており、難易度もちょうどよくやっているだけで物理の地力が上がること間違いなしです。
下手に難しい参考書を買うよりこれ買って演習するのが一番いいレベルで素晴らしいです。
まとめ
いわゆる微積物理は必ずしもできる必要はないと思いますが、知って損することがないとわかったと思います。
ただややレベルが高いのも事実なので自分にあった勉強をするのが一番いいと思います。
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