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東大生だけが知っている! 超短期勉強術 CHAPTER 2 逆転合格を勝ち取るプランニング術

メンタル面で自分を高め、合格をめざすパワーが宿ったら、いよいよ具体的な戦略「計画を立てる」が重要になる。限られた期間の中で効率的な勉強を行うには、敵(志望校の入試問題)を知り、自分の現状を分析し、伸びる教科と伸びない教科で時間配分を変える必要がある。本章では、教科の性質を「伸びしろ」「既得知識」「伸び率」の3観点で分類し、残された期間と志望校までの距離による4パターン別の戦略を解説。さらに分量ベースでの計画立案と、区切りごとの見直し方法を示す。

この章の目次

戦略的に受験に挑むための視点

計画を立てることの重要性

メンタル面で自分を高め、合格をめざすためのパワーが宿ったら、いよいよ具体的な戦略、「③計画を立てる」の段階に入る。まれに、明確なメリットを描き退路を断っただけで、ブルドーザーのように勉強して合格を勝ち取ってしまうパターンもあるが、この③をしっかりやることで合格の可能性は確実に上がる。これは「逆転合格へのシナリオ」と言ってもよい重要な要素で、限られた期間の中で効率的な勉強を行うには欠かせない。

普通にやっていては勝てない

まず教科別の計画だが、念頭に置いてほしいのは、逆転合格に賭けるなら普通にやっていては勝てないということだ。そのために重要になるのが、「敵(志望校の入試問題)を知り、それに合わせた戦略を取る」「自分の現状を分析し、伸びる教科、伸びない教科で勉強の時間配分を変える」という2つの視点である。

総合点で合格を勝ち取る

入試では、教科による「足切り」制度(特定の教科で基準点に達していないとそれでアウト)がある一部の大学を除けば、総合点で合格点に達すれば合格がもらえる。限られた時間という自分に与えられた資源を使って、いかに入試本番までに得点を伸ばすかを考えなくてはいけない。

教科を3つの観点で分類する

志望校の受験教科を3つの観点で分類してみよう。「伸びしろが大きいか、小さいか」「これまでの知識が活きるか、あまり活きないか」「グイッと伸びるか、じわじわ伸びるか」。こういう視点で見た場合、どのパターンが良いかは明白だ。伸びしろが大きく、これまでの知識も活きて、グイッと伸びる教科が良い。

伸びしろ・既得知識・伸び率に注目する

3カ月で50点以上のアップが必要

逆転合格をめざすには、かなりの得点アップを短期間に果たさなくてはならない。著者の場合、3カ月で50点以上得点を上げなくてはいけなかった。伸びしろという観点だけで言えば、世界史(60点満点で5点)をやるという選択肢もあったかもしれない。しかし本番まで時間がないため、世界史に1〜2カ月夢中になって仮に40点くらいまで伸ばしたとしても、まだ合格ラインには届かない。

世界史を捨てる決断

それだけ世界史に夢中になれば他教科がおろそかになり、得点が下がることは十分に考えられる。そこまでして世界史に時間をかける価値があるのか。考えた結果、世界史を捨てた。5点しか取っていないのだから、失うものも5点。そう前向きに考えたのだ。これは教科数の多い東大ならではの戦略だった(例えば英語・国語・世界史の3教科受験の学校で世界史を捨てるのは、さすがに厳しいだろう)。

国語(現代文)に注力

そこで注力した教科が、「伸びしろ」「自分のこれまでの知識(既得知識)との兼ね合い」「一問の配点の高さからの伸び率」を考えて、国語(現代文)だった。著者は、国語はコツをつかむのに時間はかかるものの、コツをつかんだ瞬間にグイッと伸びる教科だという信念を持っている。この考え方は、小学6年生のとき、夏期講習中に苦手だった国語に注力した結果、グイッと伸びた経験が元になっている。

現代文は日本語で既得知識が不要

さらに現代文はあくまで日本語なので、前提となる教科独特の既得知識も取り立てて必要なかったというのも、世界史と国語の大きな違いだ。「これに賭けるしかない」という思いで勉強した。敵を知るため、とにかく過去問をやりまくった。さらに英語や数学の学習にも、国語ほどではないが時間を割いて取り組んだ。英語や数学は既得知識がある程度あり、そこにつなげやすい教科だからだ。つなげられるということは、新しい学習が既得知識の復習も兼ねる。

その人にとってベストの教科に賭ける

ここで国語を選択したのは、あくまでも「僕」だからである。著者は過去に国語でグッと成績を伸ばした実績があったので、それに賭けようと思った。しかしこれが国語のもともと得意な人だったらどうだろう。国語は得意なのだけれど合格点に達していないという人は、もしかしたら別の作戦をとったほうがいいかもしれない。その人にとってどの教科が一番効果的かは違うので、あくまで「その人にとっての」ベストの教科に賭けるのが良い戦略になる。

弱点教科の克服と総合力の底上げ

2つの戦略の比較

もう一つ別の観点から見てみよう。よく比較される二つの戦略として、「弱点教科の克服」と「総合力の底上げ」がある。当然「弱点教科の克服」をすればその結果「総合力の底上げ」にはなるのだが、ここでいう「総合力の底上げ」とは、弱点教科をとくに集中学習せず、その他の教科で総合的に挽回を図るというニュアンスである。

選択の基準

これはどちらが良いと一概には言えないし、本当は両方やれるだけの時間的余裕があるのがベストだが、どちらかを選ばなくてはいけない状況ならば、次の基準で考えるといい。「①志望校の受験教科数」「②弱点としている教科の配点」。受験教科数が少ない学校ほど、またその弱点教科の配点が大きい場合ほど、「弱点教科の克服」に力を注ぐのがベターとなる。教科数が少なければ弱点の穴が全体に大きな影響を及ぼすし、配点が大きい場合もまた然りだからだ。

弱点教科克服のカンどころ

弱点教科となっている理由は、大きく分けると2つ。「①勉強不足」「②上達力不足」のどちらかだ。①の勉強不足はある意味で解決しやすく、「やればいい」ということになるのだが、②の上達力不足の場合、今までの方法をがらりと変えてみるのも一つの手である。例えば数学で伸び悩んでいるなら、あまり一問で考え過ぎず、早めに解答を見て解法パターンを暗記してしまう。歴史の流れが教科書ではなかなか頭に入らないなら、実況中継型の教材に切り替えるなどだ。慣れ親しんだやり方を一度疑ってこそ、弱点突破の活路が見えたりするものである。

期間と距離によるパターン別戦略

4パターンに分類する

受験までに残されている期間と、志望校までの距離によっても基本戦略は変わってくる。逆転合格をめざすパターンを2×2の4パターンに分けて、そのタイプ別の基本戦略を考える。「残された期間が3カ月以上/3カ月未満」と「志望校までの距離が近い(偏差値差にして7未満)/遠い(偏差値差が7以上)」の2軸で分類する。

パターンA:期間が3カ月以上、距離が近い

残された期間が3カ月以上と言っても、ここでは3カ月以上1年以内という場合を想定する。期間もそこそこ残っていて、志望校までの距離も決して遠くないこのパターンは、4つのパターンの中では一番有利な状態と言える。この場合の基本戦略は「弱点教科の克服5+総合力の底上げ5」になる(5というのは、全体を10にしたときに重視する度合いを表している)。

パターンA:早めに弱点に着手

時間があるので、一番の弱点となっている教科はきちんと克服できるように取り組もう。その教科の穴がなくなるだけで、案外合格点を取れるレベルになってしまうこともある。これまで苦手としてきたわけなので、一朝一夕で克服できるものではないが、克服した場合の恩恵が一番あるのが弱点教科だ。後回しにするとだんだん追い込まれていくので、早めに着手するのがベターである。もちろん、ほかの教科もじっくり伸ばしていくことは忘れずに。

パターンB:期間が3カ月以上、距離が遠い

残された期間はそれなりにあるものの、志望校までの距離が遠い場合、基本戦略は「弱点教科の克服8+総合力の底上げ2」だ。とにかくまずは、自分にとって伸びしろがあるといえる教科に全力で取り組んで、そこで大幅に加点できるようにする。この教科に関しては、例えば仮に世界史を1からやるような場合でも、取り組んでみる価値は十分ある。残された時間があるので、着実にやった分だけ点数が伸びる性質の教科は、このパターンBの人に向いている。

パターンB:他教科の維持を心がける

ただし当然、そのほかの教科の勉強をおろそかにしてはいけない。ほかの教科については状態が上がらなくても、せめて「維持」することを心がけた上で、まずは穴となっている教科を克服することが大切になる。

パターンC:期間が3カ月未満、距離が近い

残された期間が3カ月未満、しかし志望校までの距離は決して遠くない場合。このパターンは、ある意味で一番ラクかもしれない。もちろん状況だけ見ればパターンAの生徒が一番有利なのだが、このパターンCの生徒は、残りの期間が短い分、気持ちを保ちやすい。そしてその「気持ちの持ちよう」だけで合否が変わってきたりする。偏差値にして5程度の差であれば、気持ちだけでも十分にひっくり返せる。とりわけこのパターンの人の逆転合格には「高いメンタルの維持」が欠かせない。

パターンC:総合力の底上げが有効

学習内容のほうに目を向けると、このパターンは「弱点教科の克服2+総合力の底上げ8」という学習バランスが一番成功しやすいだろう。弱点克服に夢中になるのもいいのだが、そう簡単には克服できないから弱点なのである。短期間だと、かけた労力が不発に終わる可能性も十分に考えられる。一つの教科に集中するということはほかの教科がおろそかになって得点が下がるリスクを負うということでもあるので、あと少しで合格に届くのであれば、総合力の底上げが実は一番有効な手段であることが多い。

パターンC:持っている知識を本番で使える状態に

志望校の過去問を解き、間違えた知識の確認をするという、ある意味では無難とも言える戦略が、このタイプには有効だ。弱点克服への集中にはほかがおろそかになる可能性があるというリスクをしっかりと考え、むしろすでに持っている知識を確認し、本番で使える状態にすること、これが何より大切なのである。

パターンC:モチベーション維持のコツ

モチベーション維持の最大のポイントは「達成感」の獲得である。そのためには、その日に取り組んだ勉強量を一日の最後に紙に書き出し、がんばった自分をほめてあげよう。紙に書き出す、つまり「見える化」「可視化」する行為は、仮にあまり進まなかったとしても、「明日はがんばろう」と自分に言い聞かせるきっかけになる。また、教材を絞ることも大切。虫食い的に複数の教材に取り組むのは、無駄に量が増えたように感じるだけでなく、力点が分散していいことがない。

パターンD:期間が3カ月未満、距離が遠い

絶体絶命パターンである。まさしく著者のパターンだ。このパターンの人の基本戦略は、「弱点教科の一点突破6+総合力の底上げ4」を意識してやることが大切である。弱点教科の「克服」などという表現では生ぬるい。「一点突破」で突き抜けなくてはならない。そこをクリアした上で、さらに総合力アップもそれなりに意識する。そんな絶妙な作戦を取らざるを得ないのが、この絶体絶命パターンDである。

パターンD:グイッと伸びる教科を選ぶ

この場合の一点突破教科の選択としては、伸びしろがある教科を選ばなくてはいけないのはもちろんだが、少しずつ伸びる「コツコツ知識型の教科」より、グイッと伸びる「コツをつかんで伸ばす型の教科」のほうが良いだろう。国語や数学がこれに該当する。国語だけでなく世界史も同時に弱点だった著者が国語を選んだのは、それが理由だ。

パターンD:出題形式に合わせてコツを身につける

その「コツ」は、出題形式に合わせて身につけること。この時期は、それが何よりも大切だ。例えば、解答形式は記述式なのか記号選択式なのか。記述式なら字数制限はあるのか。答案はどんなレイアウトになっているのか。そのあたりをしっかり押さえた上で、志望校の入試問題に正解できることにキュッと照準を絞った学習をしよう。だから「一点」突破なのである。

パターンD:過去問の使い方が重要

パターンDでは、とりわけ過去問の使い方が重要になってくる。著者の場合、教科が国語だったからというのもあるが、ひたすら過去問を解きこみ、解答の書き方を体にしみこませることに力を注いだ。また、過去問でわかった弱点分野を参考書に戻って集中学習し、また過去問に戻ってくるなどといった往復学習も、教科によっては必要になる。

パターンD:割り切って山を張る

総合力の底上げにおいても、分野ごとに比重を変えて学習をすること、つまりある程度「山を張る」ことも、このパターンDのときには必要な戦略だろう。この際にも、志望校の出題傾向が如実に表れている過去問が大活躍する。頻出分野に狙いを定め、出ないと思った分野はバッサリ軽視する。志望校までの距離があればあるほど、それくらい割り切らないと一発逆転を狙うのは難しいかもしれない。

パターンD:バイタリティが欠かせない

最後にメンタル面について。もうあとには引けない状態にして、夢中になって勉強に取り組んでほしい。やみくもなやり方ではいけないが、ある程度の戦略を立ててからは、とにかく言い訳をせずに、合格に向けての細い道を自分の戦略を信じて突き進むこと。パターンDから合格を勝ち取るには、このバイタリティが欠かせないのである。

過去問の上手な取り組み方

過去問をやる上で一番いけないのは、結果に一喜一憂して終わること。過去問をやる意義は、「①志望校までの距離を測ること」「②出題傾向を把握すること」である。①については、仮に得点が悪かったとしても「この年に受けなくて良かった」くらいの前向きな姿勢で、「何が自分に足りないのか」をしっかり考えるきっかけとしよう。また、②にもつながってくるのだが、出題形式に合わせた対策と頻出分野のチェックは必須だ。

分量ベースでの計画立案

分量から入ったほうがうまくいく

各教科への勉強時間配分を戦略として決めることができたら、いよいよ入試本番までの計画を立てなければならない。計画の立て方は、「分量ベース」で考えるか「時間ベース」で考えるかの2通りの方法があるが、分量から入ったほうがうまくいきやすい。合否は勉強した時間ではなく、獲得した知識の分量で決まるわけだから。

必要な分量を考える

「入試までにどの参考書をやり、どれくらいの問題数を解く必要があるのか」。まずはこのような問いかけで必要な分量を考えよう。もちろんその際には、各教科の勉強時間配分(比率)を意識する。そうして分量を決めてから、こなすのにかかる時間を見積もるのだ。一定の分量に対してかかる時間の目安は人それぞれなので、ここは自分の学力や経験をもとに判断する。

妥当性を判断して修正する

すると必要な勉強時間の合計が割り出される。それをタイムリミットである入試本番までに残された時間と照らし合わせて、その計画の妥当性を判断するのだ。もし妥当でない計画、つまり物理的に不可能な計画であるなら、挫折するのは目に見えているので、分量を削って修正する。教科間の比率を変えないならばバランス良く削るのがいいが、そこはあまりこだわりすぎなくても構わない。

絶妙な分量設定がポイント

ポイントは、「やり切ったら合格点に到達できて、かつやり切ることのできる量」を絶妙に設定することである。こういった学習計画は、学校や塾の先生など、指導者の協力を得られると精度が高まるだろう。「自分自身が一定時間の中でこなせる分量」を正確に把握できるのは指導者よりも本人だが、「どれだけやれば合格に到達できるか」をより正確に判断できるのは、経験のある指導者に軍配が上がる。

区切りごとに計画の見直しを

あとはその「やるべき教材」を、入試までのタイムラインの上に乗せれば計画表の完成だ。どの期間にどれをやるのか、おおまかに期間を区切って教材を配置する。その区切りの幅は残り日数に合わせる。例えば1年残っているなら1カ月ごと、残り3カ月なら1週間ごとに幅を切るのが良いだろう。

振り返りと見直しが大切

一度立てた計画はそのまま眺めているだけではいけない。計画表を最大限に活かすには、必ず振り返りと計画の見直しを区切りごとに実施することが大切。計画通りに進んでいるのかどうか、もし遅れているならそれを挽回するにはどうしたらいいのか。やる量を削るのか、やり方を変えるのか。最初に立てた計画のままうまくいくことはまれなので、必ず見直しを行いながら、一歩一歩着実に志望校合格へと近づこう。

数学的帰納法型の悪循環から抜け出せ

いつまでたっても抜け出せない悪循環を、著者は数学的帰納法に例えることがある。「今日やらなかった」→「明日もいいか」→「明日やらなかった」→「明後日もいいか」。こんな悪循環、身に覚えはないだろうか。でも人生は数学ではないのだから、ここは強引に変えるべし。「今日『やる』」→「明日もやる」。踏み出す一歩が、未来を変えるのである。

まとめ

逆転合格を勝ち取るには戦略的な計画が不可欠だ。教科を「伸びしろ」「既得知識」「伸び率」の3観点で分析し、その人にとってベストの教科に注力する。残された期間と志望校までの距離によって4パターンに分類し、それぞれに最適な戦略を取る。パターンAは弱点克服と総合力を5:5、パターンBは8:2、パターンCは2:8、パターンDは一点突破6:4が基本だ。計画立案は分量ベースで考え、妥当性を判断して修正する。過去問は距離測定と出題傾向把握のために活用し、区切りごとに振り返りと見直しを実施する。「やり切ったら合格点に到達できて、かつやり切ることのできる量」を絶妙に設定することがポイントである。

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