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難関校に合格する人の勉強法はいつの時代も同じ 第七章 入試本番で失敗しないための三つの対策

第七章では、入試本番で失敗しないための三つの対策として、「時間配分」「平常心」「体調管理」のコツが詳しく解説されている。実力以上の力が発揮されることはないという前提に立ち、問題文をじっくり正確に読むこと、直後見直しの重要性、そして直前確認のコツまで、入試本番で確実に実力を発揮するための実践的な方法論が提示されている。保護者が子どもの学習をサポートする際の具体的な指針となる内容だ。

この章の目次

実力以上の力が発揮されることはない

本当にごく稀だが、試験では「実力以上の力が発揮できた!」と思える好結果が得られることがある。そんなときは、「限界を超えた能力を発揮することができた」と思いたくなるが、これは大まちがいである。

実力以上の力が発揮されることはまずない

もちろん、マークシートにあてずっぽうで印をつけたとか、選択式の問題で適当に記号を書いて、それがたまたま当たったというのはいくらでもあるが、こういうケースは例外だ。こういう偶発的なもので導かれたケースを除くと、試験で実力以上の力が発揮されることはまずない。

当たり前のことだが、ふつうに問題を解くことができるのは、必要な知識を体得している場合だけである。それはつまり、知っていなければ問題が解けないのが試験であるということだ。高得点を獲得するためには、問題を解くために必要な知識を勉強によっていかに効率よく増やすかにかかっているわけである。

実力を正しく発揮できていないことの裏返し

それではなぜ、稀に「実力以上の力が発揮できた」と感じることがあるのか。じつはこれ、いつもは自分の実力を正しく発揮できていないことの裏返しなのである。

定期試験でもなんでもいいから自分の答案を引っ張り出してよく見直してみるといい。おそらくほとんどとの答案で、「なんでこんなまちがいをしたんだろう」というミスを発見することができるのではないだろうか。これは、本当はできるのに何らかの理由でかなりの失点をしているということだ。

ふだんボロボロと失点している人が、たまたまノーミスだったらどうなるか。この場合は当然、「すごくできた!」という気分になる。そして、「実力以上の力が発揮できた」と感じるのは、たいていはこういうケースなのである。

実力はあるのにミスで入試に失敗することだけはしたくない。そのためには、ミスない答案作りができるように日頃から訓練をしておかなければならない。

「時間不足」への対策――試験時間を効率的に使う

失点の多くは、単純ミスによるものである。こういうのは解答をじっくり見直すことで防ぐことができるが、試験は時間との戦いなので、それが難しいこともある。問題を解くのに思いのほか時間がかかって、最後の見直しが甘くなる危険があるということだ。とくにミスが問題文の読みちがいによるものだと、人間の思い込みというのは激しいもので、そのままミスに気づかず失点してしまう確率が高くなる。

問題文をじっくり正確に読む

仮に気づくことができたとしても、これはかなりの精神的ダメージになる。問題文の読みちがいは、問題を解く大前提がまちがえているということなので、それまで時間をかけてやっていたことはすべて無駄だ。このときの徒労感は凄まじく、なおかつ大幅な時間のロスが焦りを呼ぶことになる。

こんな致命的なミスは、入試本番では絶対に避けなければならない。そのための作戦として、問題文をじっくり正確に読むことを推奨している。入試は限られた時間の中で問題を解かなければならないので、できれば時間を少しでも節約したいところだ。しかし、問題文は例外扱いにすべきで、致命的なミスを絶対に犯さないように時間をかけてじっくりと読んだほうがいい。

問題文を深く理解することのメリット

このやり方にはミスの回避だけでなく、もう一つの大きなメリットがある。それは問題をかみ砕いて理解することで、その後の作業を楽にできるというものだ。問題文の中には、問題を解くために必要なヒントがすべて隠されている。それを深く理解したほうが問題を解きやすくなるし、正しい答えを導き出す作業がスムーズになるのだ。

塾の生徒たちを見ていても、成績のいい子ほど問題文を読むのに時間をかける傾向がある。逆に成績の悪い生徒の場合は、問題文を流し読みしてすぐに解答作業に入り、ダラダラと解き続けていることが多い。後者の場合、問題文にあるヒントを見落とし、問題を解くために必要なことを把握できていないので、いつまでもその問題から抜け出せないことが原因のようである。

早く正確に問題が解ける

問題文をじっくり正確に読むのは、集中力を高めることにもつながる。それでいて早く正確に問題が解けるのだからこの方法を使わない手はない。問題を解くのに多くの時間を使いたくなる気持ちはよくわかるが、結果的にはこちらのほうが試験の時間を有効に使える。とはいえ、入試本番でいきなりやるのでは不安が大きく、失敗する危険もあるので、普段の勉強や模試などで試しておき、効果を確認したり慣れておくといいだろう。

「注意力不足」への対策――必ずチェックすることを決めておく

失点に結びつくミスのタイミングはだいたい三つだ。具体的には、問題文を読むとき、問題を解くとき、解答を書くときである。このうち問題文を読むときのミスは、時間をかけてもいいから問題文をじっくり正確に読むという前述の方法で対処できる。ここでは問題を解くときと解答を書くときの二つのミスへの対処法を紹介する。

直後見直しの重要性

どちらも注意力不足によるミスなので、基本的には見直しで対処できる。ではいつ見直せばいいのか。推奨しているのは「直後見直し」といって、問題を解いて解答欄に答えを書いた、まさにその直後に見直しをするという方法である。「直」後の見「直」しで、また「ちょくちょく確認せよ!」という意味でもある。

見直しというと、すべての問題を全部解き終わってからやるというのが定番の方法であり、これを否定する気は毛頭ない。むしろ全部解き終わって時間に余裕があれば、ぜひやるべきである。ただ、いろいろ検討すると、直後の見直しが最も効果的であるといえよう。

直後見直しが効果的な三つの理由

なぜか。理由は大きく分けて三つある。「集中力を持続した状態で見直しが可能である」というのがまず一つ。それから二つめは「見直しができなくなる危険を排除できる」から。そして三つめは気持ちの問題で、「解き終わった問題を完全に仕上げることで安心感が得られる」という理由だ。

問題を解いた直後というのは、問題の中身が全部頭に入っているので、いわば脳内が最もホットな状態になっている。だから短時間で確実な見直しが期待できるというわけだ。チェックポイントは、聞かれていることの答えにきちんとなっているか、条件を勘ちがいしていないか、計算ミスや誤字脱字がないかなどだ。これを短時間で確実にできるのが直後見直しのよさである。

安心感が得られる

「最後に全体を見直す」という定番の見直し方法は、最後に時間の余裕がないとできないが、直後見直しならそれがないというのも利点の一つ。最後に残った問題が結局解けない問題で、それに時間をかけているうちに全体を見直す時間がなくなるということもない。そして、何よりもこの方法は安心感を与えてくれる。直後見直しで見直しが終わっている問題は、完全に仕上げが終わっていると思えば、次の問題に挑戦している最中に「さっきの問題で、もしかするとミスをしているかもしれない」などと後ろ髪をひかれることがなくなる。別のことに心奪われることなく、安心して新しい問題を解くことに集中できるというわけである。

最終見直しとの組み合わせ

ただし、直後見直しで完全にミスが防げるかというとそうでもない。頭がホットな状態である分、根本的な条件の「勘ちがい」や「思いちがい」のようなものには逆に気づきにくいという弱点がある。しかし、自分のよくするミスのパターンをだいたい憶えておけば、それがないかどうかを見直すことでこれもある程度カバーでき、十分に対応は可能であるといえる。

もちろんベストは一度頭をリセットしてから行える、全部解き終えてからの最終最後の見直しも組み合わせることだ。ただし無論、これは「最後に時間があれば」という条件つき。「あとでもう一度やるから」という理由で、直後見直しの見直しで手を抜くことだけは避けよう。

直前確認――本番にパフォーマンスを発揮するために

試験直前の1時間は8時間に相当する。これは、直前の確認が本番でのパフォーマンスに与える影響が非常に大きいことを示している。入試本番で確実に実力を発揮するためには、直前期を超大事にする必要がある。

直前確認の重要性

試験直前の時間は、新しいことを覚えようとするよりも、すでに覚えたことを確認し、頭の中を整理する時間として使うべきだ。直前の確認は、記憶を活性化させ、本番で必要な知識をすばやく引き出せるようにする効果がある。試験直前の1時間を有効に使うことで、本番でのパフォーマンスは確実に向上する。

直前確認のコツ

直前確認では、以下のようなことを意識するとよい。第一に、重要事項の再確認だ。公式、解法パターン、重要用語など、確実に覚えておくべきことをもう一度確認する。第二に、よく間違える問題の見直しだ。過去の模試や練習問題で間違えた問題を中心に、解法を再確認する。第三に、時間配分の確認だ。各問題にかける時間を再確認し、本番での時間配分を頭の中でシミュレーションする。

体調管理と平常心

直前確認と並んで重要なのが、体調管理と平常心の維持だ。試験前日は、無理をせず早めに寝る。試験当日は、いつもと同じリズムで過ごす。特別なことをする必要はない。いつもと同じ朝食をとり、いつもと同じ時間に起きる。この基本的な生活習慣が、本番での平常心を保つために重要だ。

試験会場では、深呼吸をしてリラックスする。緊張は誰でもするものだが、過度な緊張は実力発揮の妨げになる。深呼吸をすることで、心を落ち着かせ、平常心を保つことができる。そして、問題文をじっくり正確に読み、直後見直しを徹底する。これらを実践することで、本番で確実に実力を発揮できる。

まとめ

第7章では、入試本番で失敗しないための三つの対策として、「時間配分」「平常心」「体調管理」のコツが詳しく解説されている。実力以上の力が発揮されることはないという前提に立ち、問題文をじっくり正確に読むこと、直後見直しの重要性、そして直前確認のコツまで、入試本番で確実に実力を発揮するための実践的な方法論が提示されている。実力はあるのにミスで入試に失敗することだけはしたくない。そのためには、ミスない答案作りができるように日頃から訓練をしておかなければならない。保護者が子どもの学習をサポートする際の具体的な指針となる内容である。

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