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東洋英和女学院中学校・算数入試対策ガイド(保護者向け)

算数入試対策ガイド


1. 出題傾向と難易度

東洋英和女学院中の算数入試は、その試験形式にいくつか特徴があります。基本的な入試データをまとめると次の通りです。

  • 試験時間:45分
  • 満点:100点(4科目合計320点満点中)
  • 大問数:9〜10問(小問合計約20問)
  • 解答形式:解答用紙なし(問題用紙に直接解答を記入)
  • 難易度傾向:前半は基礎的な問題、後半ほど応用的で難易度が上昇
  • 合格目安:得点率約70%(例年約70点で合格)

なお、算数は4科目中でも配点比率が高いため、他科目以上に合否への影響が大きい科目と言えます。特に、算数で得点を確実に積み上げることが合格への近道となりますので、計画的に基礎力を固めましょう。

出題範囲は算数のほぼ全単元にわたり、幅広く満遍なく出題される傾向があります。各問題は特定の単元の深い知識よりも、各単元の基礎的な理解をきちんと身につけているかを試す内容が中心です。したがって、教科書レベルの典型問題を繰り返し解くことで得点力を伸ばすことが可能です。

全体の難易度としては極端に難しい奇問・難問は少なく、基本~標準レベルの問題が中心ですが、後半の大問ほど難易度が高くなる傾向があります。時間配分を誤ると後半の得点機会を逃してしまうため、序盤で安定した得点を確保する戦略が有効です。

また、東洋英和女学院中の算数には独自の解答形式があります。解答用紙が配られず、問題用紙に与えられた欄に計算式や考え方も含めて直接書き込む方式が採用されています。限られた余白に途中経過や答えを書く必要があるため、解答を導くまでの考え方も含め簡潔にまとめる訓練が必要です。

この方式に慣れていないと、途中式を書きすぎて欄が埋まってしまったり、逆にスペースを持て余して効率的に計算できなかったりする恐れがあります。日頃からノートを活用して、限られたスペースで要点をまとめる練習を行いましょう。

2. 図形問題の重要性

東洋英和女学院中の算数で最も比重が大きい分野の一つが図形問題です。過去8年分の分析でも出題率第1位が図形分野であり、毎年複数の大問で平面図形・立体図形に関する問題が出されています。

頻出テーマとしては、角度・長さの計算、面積求積、体積・表面積、図形の移動や点の移動など多岐にわたります。例えば、円や扇形を含む複合図形での面積計算や、立体の展開図を組み合わせた体積問題が典型です。これらは一見複雑に見えるものの、基本図形の性質を組み合わせて考える力が問われます。

図形問題で確実に得点するには、基本的な図形の性質と公式を網羅することが不可欠です。特に相似形の比と面積・体積比に関する問題は頻出であり、三角形や円、台形など基本図形の性質を理解し、辺の比から面積比を求める練習を積みましょう。

  • 相似形:辺の比から面積比・体積比を求める練習を重点的に行う
  • 補助線:問題を見やすくするために引く位置を身につける
  • 展開図:立体図形の体積・表面積計算に慣れる練習を継続的に行う
  • 複合図形:小さな図形に分割してから面積や体積を算出するプロセスを確立する
  • 作図演習:正確な定規や分度器の使い方を習得し、試験時間内に正確な図を描く訓練を行う

また、正確な作図力も求められます。問題文の条件を見落とさず、自分で図を書き直すことで情報を整理し、不要な誤読を防ぎます。作図時には、長さや角度を測定するだけでなく、補助線の引き方や文字の書き込み方にも注意を払いましょう。

本番で焦らずに図を描けるよう、演習時には制限時間を設けて「3分以内に必要な図を描く」「1分以内に補助線を引く」など、具体的な時間目標を設定しながら訓練すると効果的です。

3. 速さ・比・割合の対策

図形に次いで重要なのが速さ比・割合の分野です。出題率ランキングでも上位に位置し、ほぼ毎年1~2題は文章題が出題されます。これらの分野は、日常生活でも身近な概念である一方、式の立て方や単位管理でつまずきやすいポイントでもあります。

速さの問題では、旅人算、通過算、ダイヤグラム(距離‐時間グラフ)などが典型です。特に二人がすれ違う追いかけるパターンや、出発時刻に差があるシチュエーションの練習が不可欠です。また、折り返し算追越算といった複合パターンにも対応できるよう、複数のパターンを演習しておきましょう。

  • 距離=速さ×時間 公式を暗記し、計算ミスを防ぐ
  • ダイヤグラムを自分で描き、グラフから関係を読み取る
  • 相対速度の考え方を表と図で整理する
  • 複数区間の旅人算:区間ごとに速さや時間を分けて計算する
  • 折り返しや往復問題:往路・復路を別々に整理するクセをつける

割合と比では、百分率、比の分割・合成、濃度算、利益算、還元算、そしてニュートン算(水槽算)が頻出です。最近は水位変化をグラフで示す問題も増えており、水量の増減量と時間の関係を正確に把握する練習が必要です。さらに、食塩水算濃度変化算のように、対象の性質を考慮して式を立てる問題にも対応できるよう準備しましょう。

  • 入れる量と出る量の差で増減を考える
  • 単位換算(1L=1000㎤など)に慣れる
  • 混合比や濃度変化を表で整理する
  • 利益算・原価算:利益率や原価率の計算方法を習熟
  • 相当算:比で全体を分ける問題の解き方を反復演習

問題演習の際は、まず設問の条件を箇条書きで整理し、その上で式を立てるクセをつけましょう。文章題は要件を漏らさず拾うことが解答の鍵です。解答後には必ず見直しを行い、単位や数字の取りこぼしがないかを確認する習慣を徹底してください。

模擬試験や過去問演習では、本文中の条件を読み落とさないよう、設問ごとに下線やマーキングを入れるなど、視覚的な工夫も取り入れてみましょう。これにより、試験本番での読み間違いを大幅に減らすことができます。

4. 場合の数・規則性の対策

東洋英和女学院中の算数では、場合の数規則性に関する問題も出題されることがあります。頻出度はやや低めですが、「出ないだろう」と油断せず基本に触れておきましょう。実際、これらの問題で得点できるか否かが合否の分かれ目になるケースも少なくありません。

場合の数問題は、樹形図や表を用いて整理することが基本です。条件を一つずつ分けて書き出すことで、もれなく数え上げることができます。複雑な条件が付く場合は、「段階的に条件を追加する」「場合分けを明確に示す」手順を踏むことで、ミスを防ぐことが可能です。

  • 樹形図で全パターンを書き出す
  • 表にまとめて「どれを何通り」か確認
  • 必要に応じて順列・組合せの公式を補助的に活用
  • 条件を整理するメモ欄を設け、手順を可視化

規則性問題では、数列や図形の法則を見つける力が問われます。「○番目と○番目の差は同じ」「○回目に増える数が一定」など、まずは小さい段階から書き出してパターンを掴む習慣をつけましょう。

  • 初項・公差を表で整理する
  • 規則を言葉で説明してみる
  • 図形の並びは紙に描いて変化を確認
  • 規則性の発見演習を反復し、発想力を養う

規則性の問題は時間をかけすぎると他の問題に手が回らなくなるため、まずは簡単に解けそうな数列や図形から着手する判断力も必要です。過去問演習を通じて、自分が見つけやすいパターンを把握し、試験本番での優先順位を決める練習をしておきましょう。

5. 効果的な学習法

東洋英和女学院中の算数入試で合格点を取るためには、日頃の計画的な学習実戦的な演習の両方が欠かせません。以下に、家庭で効率的に取り組むための具体的な学習法をまとめました。

  • 基礎問題集:全単元の典型問題を網羅した問題集で基礎力を固める。章末の総まとめ問題を必ず解き切り、弱点を明確化する。
  • 毎日の計算練習:計算ドリルでケアレスミスを減らし、正確性を高める。朝晩各5問ずつなど、習慣化すると効果的。
  • 過去問演習45分間で解き切る時間配分を身体に覚え込ませる。1年分ずつ分析し、年度ごとの傾向の違いも確認する。
  • 模試・演習会:第三者の目で弱点を分析し、補強ポイントを明確化。復習ノートにまとめ、類題演習で定着を図る。
  • 親子の振り返り:間違えた問題は解き直し、解法のポイントを親子で話し合う。手順や考え方を声に出して説明することで理解が深まる。
  • メンタルケア:適度な休息とモチベーション維持の声掛けを忘れずに。小さな目標を設定し、達成感を積み重ねる。
  • 生活リズム:睡眠・食事・運動を管理し、試験本番に万全の状態を保つ。特に試験1週間前からは生活リズムを崩さないよう注意。
  • 進捗管理:月ごと・週ごとに学習計画を立て、チェックリストで達成度を確認。達成できなかった項目は次週に必ず繰り越す。
  • 環境整備:集中できる学習スペースを用意し、必要な文房具や参考書を手が届く範囲にまとめておく。

また、定期的に進捗を確認し、学習計画を見直すことも重要です。弱点が明確になった段階で、補強用のミニ演習を追加し、苦手分野を放置しないようにしましょう。長期計画と短期計画を組み合わせることで、効率的に学習を進めることができます。

6. まとめ

東洋英和女学院中学校の算数入試は、幅広い分野から基礎~標準レベルの問題がバランスよく出題されます。特に図形、速さ・割合、場合の数・規則性といった頻出分野は重点的に対策し、苦手分野は早めに克服しましょう。

出題傾向を踏まえた学習と、実戦的な過去問演習を組み合わせることで、合格に必要な力を効率的に伸ばせます。家庭では、基礎固め、時間配分、ケアレスミス防止を中心にサポートし、お子さまの自信を育んでください。

親子で二人三脚の学習を続けることで、算数の苦手意識は克服できます。模試や演習会で得たフィードバックをもとに、改善を重ねながら、本番で存分に実力を発揮できるよう準備を進めましょう。

最後に、算数は知識だけでなく「考え方の型」を身につける科目です。本ガイドで紹介したポイントを基に、まずは一つひとつの解法プロセスを習得し、その後はスピードと正確性を高める練習を行ってください。お子さまの成長と合格を心より祈っています。

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