立教女学院中学校・国語入試対策ガイド(保護者向け)
立教女学院中学校 国語入試 対策ガイド
立教女学院中学校の国語入試は、読解力と思考力を問う充実した内容で知られています。特に長文読解と記述問題が合否を分けるポイントとなるため、受験生には計画的な対策が欠かせません。本記事では、国語の出題傾向と難易度から、記述力の重要性、物語文・論説文それぞれの攻略法、そして効果的な学習方法まで、保護者の方にも分かりやすく解説します。お子さんの国語力向上に向けて、ぜひ参考にしてください。
1. 出題傾向と難易度
立教女学院中学校の国語の入試では例年、大問2題が出題されます。その内訳は、物語文(小説などの文学的文章)1題と論説・説明文(随筆を含む説明的文章)1題という構成です。試験時間は45分で、配点は90点満点とされています。この短い試験時間で2つの長文を読み解く必要があり、時間内に素早く正確に読み取る力が求められます。
文章量は年によって多少異なりますが、合計で約6,000~8,000字程度にもなり、他校と比べても長めです。したがって、読解スピードと集中力が試験全体のカギになります。限られた時間で内容を把握する練習を積んでおくことが重要です。
設問数はおおむね20問前後で、選択肢問題(記号選択)や抜き出し問題(文章中から言葉を抜き出す)もありますが、特筆すべきは記述式の問題が多いという点です。各長文につき、100字以上を書かせる自由記述の問題が最低1問は含まれており、しかも字数制限が明確に定められていないことが少なくありません。つまり、与えられた解答欄いっぱいに、自分の言葉で考えをまとめる問題が出題されるのが特徴です。
過去の出題傾向を見ますと、物語文の題材は児童文学の新刊や海外児童文学の翻訳作品など、子どもにも親しみやすい物語が多く採用されています。一方、論説・説明文の題材は社会問題や時事的なテーマが目立ちます。「いじめをなくすためにできること」や「生物多様性」といったテーマが取り上げられた年度もあり、現代社会に関する話題が頻出です。
難易度について言えば、文章そのものの内容は極端に難解ではないものの、文章量の多さと記述回答の比重の高さが受験生にとって挑戦となります。漢字の読み書きやことわざ・慣用句、四字熟語などの知識問題も文章中で出題されますが、これらは小学範囲の基本的なものがほとんどです。そのため知識問題自体の難易度は高くありませんが、取りこぼしなく確実に正解することが求められます。合格者の平均点は6割台後半~7割程度とやや高めで推移する傾向があり、高得点勝負になりやすいと言えます。つまり、基本問題で確実に点を取り、記述問題でいかに部分点を落とさず得点できるかが合否を左右するでしょう。
2. 記述力の重要性
立教女学院中の国語において、記述式問題への対応力が合格の鍵を握ります。記述問題の割合が多いため、ここで点数を稼げるかどうかが他の受験生との差を生みます。単に内容を暗記しているだけでは対応できず、文章の内容を的確に捉え、自分の言葉で整理して表現する力が不可欠です。
記述問題では、例えば「登場人物の気持ちを、自分の考えも交えて説明しなさい」といったように、文章中の状況理解と受験生自身の考察力の双方が問われます。字数の指定がない場合が多く、解答用紙には余裕のある記述欄が設けられています。そのため、要点を一言二言書くだけでは欄が余ってしまいます。問われた内容の「骨組み」(要点)をまず押さえ、その上で肉付け(具体的な説明や理由付け)をして充実した回答を書き上げる力が重要です。
お子さんが記述回答を書く際には、いきなり書き始めるのではなく、まず設問の意図を正確に読み取ることが大切です。その上で、文章のどの部分にヒントや根拠があるかを考え、解答の構成を頭の中で組み立ててから書き出すよう指導してあげましょう。一度整理してから書き始めることで、筋の通った論理的な答案になります。
また、表現力も評価されます。読んだ人に伝わりやすい文章になっているか、自分の感じたことを適切な日本語で書けているか、といった点です。難しい表現を無理に使う必要はありませんが、読み手が理解しやすい明瞭な文章を心がけましょう。文と文のつながりが分かるように接続詞を使ったり、指示語(これ・それ等)が何を指しているか明確にしたりするなど、基本的な文章作成のルールを意識すると良いでしょう。
「国語はセンスだから…」と記述問題対策を諦めてしまう方もいますが、記述力は練習とフィードバックで伸ばすことが可能な技能です。実際、お子さんの答案を見直すと、初めは要点がずれていたり説明が不足していたりするものが、練習を重ねるうちに格段に改善されるケースが多くあります。大切なのは、書いた答案をきちんと添削し、良い点・足りない点を確認するサイクルです。保護者の方もぜひお子さんの答案を読んで、一緒に「ここはこう書くともっと伝わるね」といった振り返りをしてみてください。記述力の向上は国語だけでなく他教科にも良い影響を与えますので、この機会にしっかり対策しておきましょう。
3. 物語文の対策
物語文(小説文)は、登場人物の心情理解や物語の展開把握がポイントです。立教女学院中の物語文は比較的親しみやすい内容が多いとはいえ、読み取りは常に文章に即して行う必要があります。お子さんが物語を読む際に、自分の主観だけで判断せず、文章中の描写やセリフから客観的に心情を読み取る習慣をつけましょう。
具体的な対策として、まず登場人物と場面の整理をすることが挙げられます。物語を読み進めながら、誰がどのような状況にいて、どんな気持ちになっているかを一つひとつ押さえていきます。会話文や情景描写の中にヒントが隠されていることが多いので、「なぜこのセリフを言ったのか」「このとき主人公の胸中に何があったのか」といった点に注意しながら読むと良いでしょう。段落ごとに簡単に「あらすじ」を頭の中でまとめていくのも効果的です。
物語文の設問では、登場人物の気持ちや性格、心情の変化について問われることが頻繁です。「主人公はこのとき何を感じたか。それはなぜか」といった設問に対しては、まず感じたこと(心情)を一言で表し、その理由を物語中の出来事やセリフに即して説明するという構成で答えると分かりやすい答案になります。また、「あなたはどう思うか」と意見を求められることもありますが、この場合でも物語の内容を踏まえて答えることが大切です。自分の意見を書く場合でも、物語のテーマや登場人物の経験に照らして書けば、独りよがりな答えにはなりません。
お子さんによっては、物語が好きで感情移入しすぎるあまり、勝手な解釈をしてしまうことがあります。例えば、登場人物に自分を重ね合わせて「きっと〜に違いない」と深読みしすぎると、文章に書かれていない内容を想像で補ってしまい、設問の答えから逸れてしまうことがあります。そうならないために、常に文章中の根拠に立ち返るクセをつけましょう。「どの文にそう書いてあるかな?」と問いかけながら読む習慣が役立ちます。
4. 論説・説明文の対策
論説文や説明文は、筆者の主張や文章全体の論理構成を読み解く力が試されます。立教女学院中では社会性のあるテーマが多いため、話題に対する背景知識があると理解しやすい場合があります。例えば環境問題や教育、人間関係など、小学生にも関係する時事的な内容が登場することがあるので、日頃からニュースや新聞の子ども向け記事などに触れておくと良いでしょう。
ただし、背景知識がなくても文章の内容から十分に理解できるように書かれているのが入試問題です。したがって、知らないテーマでも慌てず、まずは筆者が何を一番伝えたいのか(主張・結論)を探しながら読むことが大切です。その際、段落ごとの要点を押さえ、各段落が主張を支えるためにどんな役割をしているか(例:具体例の提示、反論への対処、原因の説明など)を意識しましょう。段落の最初と最後の文には重要なことが書かれている場合が多いので注意深く読むようアドバイスしてください。
説明的文章の設問では、内容の正確な理解を問うものが中心です。「筆者の述べていることとして正しいものを選びなさい」などの選択問題や、「この文章の主題は何か」「筆者が伝えたいことをまとめなさい」といった記述問題が考えられます。記述で答える場合、文章の中のキーワードや言い回しを適宜使いながら、自分の言葉で要約すると良いでしょう。文章から離れすぎないようにしつつ、丸写しではなく自分なりに整理して書くことで、理解度が伝わる答案になります。
論説文ではまた、筆者の論の展開に沿って客観的に読むことが要求されます。筆者が複数の観点から話を進めている場合や、一見すると矛盾することを述べている場合でも、感情に流されず論理的につながりを追うことが大切です。お子さんが自分の意見を持つことは大事ですが、設問が問うているのが「筆者の考え」なのか「自分の考え」なのかを区別して回答するよう指導しましょう。筆者の考えを問う問題で自分の意見を書いてしまうミスは避けねばなりません。
一方で、「この文章を読んであなたはどう思いましたか」といった設問が出ることもあります。この場合は、お子さん自身の意見や感想を書くことになりますが、ただ感想を書けば良いというわけではなく、文章の内容を踏まえて論理的に述べる必要があります。例えば環境問題がテーマであれば、文章中の提案やデータに触れつつ、自分はそれをどう考えるか、具体的に自分の経験や考えを交えて書くと説得力が増します。普段からニュース記事を読んで「自分ならどう感じるか」「他にどんな意見があり得るか」を考える習慣をつけておくと、このような問題にも落ち着いて対処できるでしょう。
5. 効果的な学習法
ここでは、立教女学院中学校の国語で得点力を高めるための効果的な学習方法をいくつかご紹介します。日々の勉強の中に取り入れて、記述力・読解力の向上につなげていきましょう。
- 毎日の読書習慣:国語力の土台は読書量にあります。ジャンルを問わず様々な文章に触れることで、語彙が増え、文章のパターンに慣れていきます。物語だけでなく、伝記や科学読み物、新聞の子ども欄などもおすすめです。親子で読んだ本の話をする時間を作ると、理解が深まるだけでなく読書が楽しい習慣になります。
- 語彙力・知識の強化:漢字や慣用句、ことわざなど、基礎的な言葉の力を確実に身につけましょう。漢字は小学校で習う範囲を中心に、書き取り練習やドリルで定着を図ります。慣用句や四字熟語は、意味だけでなく文章中でどう使われるかも確認すると記憶に残りやすくなります。
- 記述問題の演習:記述力は練習によって伸ばすことができます。過去問や類似の問題を使って、実際に答案を書く練習を重ねましょう。書いたら終わりではなく、必ず見直しと添削を行います。可能であれば塾の先生や国語に詳しい方に添削をお願いし、無理な場合でも模範解答と自分の答えを見比べて「何が足りないか」「どこが余分か」を確認しましょう。
- タイムマネジメントの練習:45分という試験時間内で解き終える練習も重要です。家で過去問演習をする際は、実際に時間を計って解かせ、本番さながらに取り組みます。最初のうちは時間内に終わらないこともありますが、繰り返すうちに段取りが身についてきます。解く順番も工夫しましょう。例えば、物語文と説明文のどちらを先に解くかはお子さんの得意不得意によって戦略が分かれます。
- 過去問をフル活用:立教女学院中の過去問は、出題傾向を把握し慣れるための最良の教材です。少なくとも直近5年分程度は解いてみて、問題の形式や難易度になれておきましょう。過去問演習では、解きっぱなしにせず、間違えた問題の原因分析まで行うことが大切です。一つ一つ課題を潰していきます。
- 模擬試験・添削指導の活用:塾や家庭教師などで模擬試験を受ける機会があれば積極的に活用しましょう。本番に近い環境で長文問題に取り組むことで、集中力のトレーニングになりますし、現時点での課題も見えてきます。特に記述問題は、第三者から採点・講評を受けることで客観的な改善点が分かります。
- 日常生活で国語力アップ:特別な勉強時間だけでなく、日常会話や生活の中でも国語力を鍛えることができます。例えば、ニュースや本で知った言葉を会話で使ってみる、家族で時事問題について意見を言い合ってみる、といった取り組みです。何気ない会話の中で「それはどういう意味?」と尋ねたり、「今の話を要約するとどうなるかな?」と投げかけたりしてみると、お子さんが楽しみながら考える力と言葉の力を鍛えることができます。
以上のような学習法を組み合わせて継続していくことで、立教女学院中の国語で求められる力が自然と身についていくでしょう。特に記述問題対策と読解練習は時間がかかるため、早め早めに取り組むことが成功の秘訣です。
6. まとめ
立教女学院中学校の国語入試は、長文読解の量と記述問題の質が特徴であり、適切な対策を講じれば十分に高得点を狙える試験です。出題傾向として、物語文と論説文の両方がバランスよく出題され、知識問題も含まれますが、最大のポイントは自分の言葉で答えを記述する設問への対応力です。
保護者の皆さまには、お子さんが日頃から読書に親しみ、文章を書くことに抵抗を感じないような環境作りをしていただくことが大切です。難しい漢字や言い回しは徐々に覚えていけば構いません。それよりも、文章を正確に読み取る力と思ったことをきちんと書き表す力を養うことに注力しましょう。これらは一朝一夕には身につきませんが、日々の積み重ねで着実に伸びていく力です。
お子さんが書いた記述答案には、ぜひ目を通してみてください。どんな考えを書こうとしたのかを尊重しつつ、より良い表現や構成ができる部分があればアドバイスしてあげましょう。保護者の方から見ても分かりやすい答案であれば、採点者にも伝わりやすいはずです。また、うまく書けているところはしっかり褒め、自信につなげてあげてください。
最後に、立教女学院中合格という目標に向けて大切なのは、「国語の力は必ず伸ばせる」という前向きな気持ちと、地道な努力の積み重ねです。正しい方向で対策を続ければ、国語が苦手だったお子さんでも記述問題で点を取れるようになり、得意科目として武器にすることも夢ではありません。保護者の方もサポート役として寄り添いながら、お子さんの自信と実力を育んでいってください。立教女学院中学校の国語入試対策を万全にし、ぜひ合格を勝ち取っていただきたいと思います。
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