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広尾学園小石川中学校・算数入試対策ガイド(保護者向け)

広尾学園小石川中学校 算数入試対策ガイド


広尾学園小石川中学校の算数入試で合格点を取るには、出題傾向の把握と十分な対策が欠かせません。本記事では、広尾学園小石川中の算数について、出題傾向と難易度、重視される数学的思考力、頻出分野(図形・速さ・比)の対策、さらには効果的な学習法までを総合的に解説します。お子さまの算数対策の指針としてぜひご活用ください。

1. 出題傾向と難易度

2021年に「広尾学園小石川」と校名変更され共学化したこの中学校は、広尾学園本校と同等の教育を目指してスタッフも受け入れ、近年入試難度が急上昇している注目校です。その人気ぶりは入試競争率にも表れており、例えば2022年度の第1回入試では男子倍率11.3倍・女子9.8倍という狭き門となりました。入試は例年複数回実施され、初回(2月1日午前)は4科目入試、2回目以降(午後入試)は国語・算数の2科目入試となっています。いずれの方式でも算数は必ず課されるため、結局どの回を受けても算数力が合否を左右すると言えるでしょう。事実、広尾学園小石川中では「算数勝負」の傾向が色濃く、算数が得意な受験生が合格を勝ち取るケースが多く見られます。

算数の試験時間は50分で、配点は100点と主要科目の中でも高めに設定されています。出題は大問5題程度で、計算問題(大問1)と小問集合、そして応用問題が3~4題という構成が一般的です。出題分野は幅広いものの、頻出分野には一定の傾向があります。具体的には、規則性(数列やパターン発見)、場合の数数の性質、そして平面図形・立体図形などの図形問題が頻繁に出題されています。特に「規則性」「相似(図形の縮尺)」「数の問題」は学校側が好んで出題している分野です。こうした分野は日頃から各塾のテキストや問題集でも重点的に扱われるテーマであり、オーソドックスな問題から工夫が必要な問題まで取りこぼしなく得点できる力を養っておく必要があります。

全体的な難易度としては標準的な問題から思考力を要する応用問題までバランスよく出題されますが、問題そのものの難しさ以上に要求得点水準の高さが大きな特徴です。広尾学園小石川では合格者の算数平均点が80点前後に達する一方、受験者全体の平均点は60点台に留まるケースもあり、10~20点以上の大きな開きが生じることがあります。これは算数でミスなく高得点を取れるかどうかが合否を分けることを意味しています。実際、「典型的な問題が並ぶ入試ほど安易なミスが命取り」とも言われており、基礎的な問題で確実に点を拾う正確性と、難度の高い問題に食らいつく粘り強さの両方が求められます。算数が得意なお子さんが多い中で合格を勝ち取るには、ミスの少なさと安定感が大きな武器になるでしょう。

2. 数学的思考力の重要性

広尾学園小石川の算数入試では、単に公式や解法パターンを暗記しただけでは太刀打ちできない思考力重視の問題がしばしば出題されます。特に第1回入試などでは、受験生の「考える力」の差が得点差として如実に表れる傾向があります。大問3以降に配置される応用問題では、一筋縄ではいかないひとひねりある良問が並び、解法の暗記だけでは対応できません。実際に典型題の反復練習だけでは解けない問題が出題され、「持っている知識の中からどのアプローチを選べば解決できるか」を考える力が試されています。

例えば2022年度第1回入試では、大問3に濃度を扱う問題、大問4に容器の水位と体積の関係を示すグラフ問題、大問5に場合の数、最後に立体図形と、思考力を駆使する多彩な問題が出題されました。これらはいずれも解法パターンの暗記だけでは太刀打ちできず、その場で柔軟に方針を立てる力が要求された問題です。このように、「考える習慣」が身についているかどうかで得点に明確な差が生まれる傾向があります。

したがって、算数の学習では日頃から数学的思考力を養うことが非常に重要です。ただ計算が早いだけではなく、問題文の条件を整理して論理的に解決策を導く力や、別の角度から考え直す柔軟性が求められます。広尾学園小石川中が目指す「思考力を駆使する楽しい良問」に対応するためには、答えに至るプロセスを大切にした学習を心がけましょう。例えば、解いた問題の答え合わせの際に「なぜその解法で解けるのか」「他に解き方はないか」をお子さんに問いかけ、考えさせる習慣づけをすることで、着実に思考力が鍛えられます。また、パズル的な問題(数字パズルや論理パズルなど)に親しむのも効果的です。楽しみながら試行錯誤する経験を積むことで、「考えること」に抵抗がなくなり、入試本番でも落ち着いて思考を巡らせることができるようになります。

例えば、ナンプレ(数独)や論理パズルの問題集に親しむことも、遊びながら論理的思考力を養う助けになります。なお、思考力強化のために「算数オリンピック」や「KPM」の過去問題集など難度の高い良問に挑戦してみるのも有効です。

3. 図形問題の対策

広尾学園小石川中の算数では、図形問題が安定して出題される傾向があります。平面図形では三角形や四角形の角度・面積、図形の移動や折り重ね、点の移動や軌跡、合同・相似といった問題、立体図形では展開図や切断、回転体の体積・表面積、投影図や影の問題など、多彩な問題が登場しています。これら図形問題は文章題とは異なる空間把握力やイメージ力が要求されるため、苦手意識を持つ受験生も少なくありません。しかし、頻出である以上避けて通ることはできない分野です。図形問題が得意かどうかが最終的な得点差にも大きく影響するため、しっかりと対策しておく必要があります。

図形問題対策としては、まず基本的な公式・原理の習得が不可欠です。三角形の内角の和や円周角の定理、円の面積公式といった基礎知識はもちろん、相似な図形の辺の比と面積比の関係など重要事項は確実に押さえましょう。その上で、実際の入試レベルの図形問題に数多く当たり、解法のコツを体得していくことが大切です。複雑な図形問題では、補助線を引いて隠れた関係性を見つける、立体の問題では一度平面に置き換えて考えてみる(展開図を描く等)といった工夫が解決の糸口になります。また、問題文にある「平行」「垂直」「長さが等しい」などの条件は図に書き込み、見落とさないようにしましょう。条件整理を徹底することで、どの定理や性質を使えばよいか道筋が立ちやすくなります。必要に応じて、実際に紙を切って展開図を作ってみたり、模型を使って立体のイメージを掴む練習をするのも理解を助けます。楽しみながら図形に親しむ工夫も取り入れてみてください。

  • 角度・長さ・面積など図形の基本定理や公式を暗記し、どの問題で使うか判断できるようにする
  • 難しい図形問題では補助線や展開図を書く習慣をつけ、隠れた関係を見つけ出す工夫をする
  • 過去問や類題で様々な図形問題を経験し、対応力と空間把握力を鍛える

4. 速さ・比の対策

広尾学園小石川中の算数では、速さに関する問題もしばしば出題されます。典型的な「速さ」の問題としては、列車や人が出会う・追い越すといった移動と時間の関係を問うもの、また池の周りを歩く人物が出会うタイミングを問うような相対速度の問題などが考えられます。さらに、水槽に水を入れると時間と水位がどのように変化するかをグラフから読み取るような、水量と時間の関係に関する出題も頻出です。一方、「比」を扱う問題は、濃度算(食塩水などの濃度計算)、お金の分配、年齢算、売買損益の計算など多岐にわたり、算数のあらゆる単元に顔を出します。比の概念は図形(相似形の辺の比など)や速さ(距離と時間の比率)とも深く関わる基本事項であり、これを自在に使いこなせるかどうかが得点力に直結します。

速さの問題では、単位あたり量の把握整理力がポイントです。まず「道のり=速さ×時間」の基本式を正確に理解した上で、距離・時間・速さの関係を表にまとめたり、線分図で視覚化したりする習慣をつけましょう。特に複数の対象が動く場合、それぞれの進んだ距離や所要時間を一覧にして比較すると混乱を防げます。向かい合って進む二者が出会う問題では相対速度(お互いが近づく速さ)は両者の速さの和になる、といった原理を知っておくと便利です。また、時間の単位換算(分と時間の変換など)を誤ると致命的なミスにつながるため、単位の確認を徹底することも重要になります。時間差や出発順序が絡む場合は、基準となる時刻に揃えてから考えるなど、状況整理の工夫を身につけておきましょう。

比の問題では、日常的な感覚で割合を捉える練習が有効です。たとえば料理で「水と粉を3:2の割合で混ぜる」といった場面に注目するなど、身近なところで比を意識してみると理解が深まります。典型的な鶴亀算(異なる単価の組み合わせから総数を求める問題)や過不足算なども比を使った解法で有名なので、一度仕組みを親子で一緒に考えてみるとよいでしょう。比例式の計算練習も必要ですが、それ以上に大切なのは比の構造を理解することです。同じ比でも量全体が変われば実際の値がどう変化するか、逆比の考え方、割合の差の意味など、比にまつわる概念を言葉で説明できるくらいに理解しておくと応用が利きます。速さや濃度の問題は根底に比の考え方があるので、基本を押さえておけば一見複雑な問題も整理して解けるようになるでしょう。なお、速さや比の問題は途中計算も多いため、解答が出たらもう一度代入してみるなど可能な範囲で検算する習慣もつけておきましょう。複雑な問題ほど見直しの時間を確保し、ミスのない答案を仕上げることが大切です。

  • 速さ:単位を揃えて表や線分図で整理する習慣をつけ、相対速度などの原理も理解して応用できるようにする
  • 比:割合・比の基本ルール(内項と外項の積が等しい 等)を理解し、濃度算や鶴亀算など様々な応用問題で練習する
  • 共通:計算ミス防止のため丁寧に途中式を書き、見直し・検算を徹底する

5. 学習法(基礎〜応用、過去問の活用など)

広尾学園小石川中の算数対策を万全にするには、基礎力の定着から応用力の養成、そして過去問演習まで計画的に学習を進めることが不可欠です。ここでは効果的な学習法のポイントを段階別に整理します。

  1. 基礎固め:まずは計算力や基本的な解法の習得から始めましょう。四則計算や分数・小数の計算練習を徹底し、ケアレスミスを無くす訓練が重要です。また、割合や図形の公式など基礎知識を確実に暗記・理解することが大前提となります。広尾学園小石川の算数は、基本的な問題で確実に得点できる正確さが要求されます。計算問題や一行問題でミスをしないよう、日々の演習で丁寧さと正確さを身につけてください。また、日頃からノートに途中式や考え方を書き出す習慣をつけておきましょう。頭の中だけで考えるとミスに気づきにくいため、論理の流れを視覚化して確認することで正確性が向上します。
  1. 応用力養成:基礎が固まったら、次は応用問題にも挑戦して思考力を鍛えます。塾のテキストや問題集の応用問題・発展問題に取り組み、初見の問題に対する対応力を高めましょう。解き方がすぐに思いつかない問題に出会ったら、ヒントとなる条件を書き出して整理してみる、小さい数値で試してみる、図に描き起こしてみる等、自分なりのアプローチで考える練習をします。間違えた問題はなぜ解けなかったのかを分析し、次に似た問題が出たらどう解くかまで考えておくことで、思考パターンの引き出しを増やすことができます。保護者の方は、お子さんが悩んでいるときすぐに解法を教えるのではなく、まずはどこで躓いているのか一緒に整理してみましょう。そうすることで、考えるヒントを与えつつ自力で解決する力を伸ばすサポートができます。
  2. 過去問演習と分析:仕上げの段階では、過去問を最大限に活用しましょう。広尾学園小石川中学校の過去問集は学校側も受験生に「しっかりやり込んできてほしい」と指定するほど重視されています。少なくとも直近5年分程度の過去問に取り組むことで、出題パターンや難易度の肌感覚がつかめますし、時間配分の練習にもなります。実際の入試と同じ50分を計って解いてみて、終了後に自己採点と振り返りを行いましょう。間違えた問題は解説を読むだけでなく、なぜその誤答に至ったのか――知識不足か、問題文の読み違えか、解法の方針ミスか――を洗い出し、次に活かします。傾向が似た他校の問題にも挑戦すれば、思わぬ出題にも対応できる柔軟な応用力が養われます。広尾学園小石川としての入試は2021年度から開始されたため、それ以前の前身校(村田学園)時代の問題は傾向が異なる点に留意しましょう。

過去問演習を通じて「どの分野で時間がかかっているか」「自分の弱点はどこか」を把握したら、直前期にはその弱点補強を重点的に行います。たとえば図形に時間がかかるなら集中的に図形問題演習を行う、計算ミスが多いなら毎朝計算ドリルで精度を高める、といった対策です。また、志望校別模試や合不合判定テストなどを受験して客観的な位置づけを確認することも有益です。模試の結果は単に偏差値を見るだけでなく、分野別の正答率や失点の傾向を分析し、今後の勉強計画に反映させましょう。学習計画はなるべく早めに立て、夏休み頃までに基礎を完成させて、秋以降は応用・過去問演習に時間を充てられるのが理想的です。保護者の方は、お子さんの学習スケジュール管理をサポートし、計画通り進まない場合は早めに軌道修正するなど、マネジメント役に徹すると良いでしょう。なお、繰り返すミスや弱点分野は間違い直しノートなどに書き出して定期的に見直すことで、弱点克服に役立ちます。

6. まとめ

広尾学園小石川中学校の算数入試は、思考力を問う良質な問題が多く出題される一方で、高い正確性と得点力が要求される難関試験です。本記事で述べたように、出題傾向を踏まえた対策(頻出分野の重点学習・思考力トレーニング・過去問演習)をバランスよく行うことで、着実に合格力を高めていくことができます。単に解法を暗記するのではなく、「なぜそう解くのか」を突き詰める学習を積み重ねた受験生は、本番でも応用の利く柔軟な対応力を発揮できるでしょう。算数で主導権を握ることは合格への大きなアドバンテージになりますが、もちろん他の科目も含めて総合力を伸ばすことが大切です。保護者の皆様も、お子さまが楽しみながら学べる環境づくりと計画的なサポートを通じて、志望校合格への歩みを後押ししてあげてください。努力が成果に結びついたときはしっかり褒めて自信にさせ、行き詰まったときには適度に息抜きを挟みつつ励ますことで、長丁場の受験生活を乗り切る精神的な支えとなってあげましょう。

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