【例題アリ!】開成中学入試傾向完全解説【2023年度最新版!】
はじめに
どうもこんにちは、個別指導塾テスティー久我山校講師の村田です。
今回は、母校である開成中学校の入試の傾向について書いていきたいと思います。
当時の記憶や最新の情報を合わせて、より質の高い情報を皆様にお届けしていきたいと思います。
基本情報
まずは、開成中学の入試の基本情報について、纏めていきたいと思います。
・募集人数
男子 300名
・出願・受験料払込期間(オンライン)
12/20~1/20 (受験料 28000円)
・受験票印刷期間
1/10~2/1
・試験日
2/1 午前~昼過(昼食持参)
・試験会場
開成学園(東京都荒川区西日暮里4丁目2−4) 最寄り駅:西日暮里駅
・入試倍率
2.5~3倍
・合格発表日
2/3 正午(学園ホームページ)
詳細については、こちらの開成学園公式ホームページをご確認ください。
例年、学園内にて合格者の受験番号を張り出していたのですが、コロナや校舎建て替えの影響で今年は無かったようです。
また、試験開始時刻の変更などもあったようなので、受験の際は必ず公式の資料を参照してください。
入試概要
では、いよいよ開成中学の入試の内容について解説していきます。
開成中学の入試は、学力試験のみとなっています。内申点などは無く、試験の点数によって合否が決まります。
そして、試験科目は算数国語理科社会の四科目となっています。そして、各科目の配分は
科目 | 配点(合計:310点) | 試験時間 |
算数 |
85点 | 60分 |
国語 |
85点 | 50分 |
理科 |
70点 | 40分 |
社会 |
70点 | 40分 |
と、算数や国語を重視した内容となっています。以降の項目では、科目ごとの試験の傾向について詳しく見ていきたいと思います。
算数
開成の算数は、受験生の間で最も差がつく科目です。算数が得意な生徒はどこまで点数を伸ばせるか、苦手な生徒はどこまで食い下がれるかが、合格不合格を間違いなく分けるでしょう。
出題形式としては、例年大問四問程度、問題用紙解答用紙各二枚の形式となっています。
出題内容として、立体図形やその切断がやや出やすいという傾向こそありますが、幅広い分野から様々な問題が出ます。そのため
-
-
- 読解力:開成の算数には、複雑な条件が設定されている問題が多くあります。誤った理解や読み落としをしてしまえば、どんな問題も解けません。逆に、各大問の最初の問題は、読み取りさえ出来たら簡単な計算だけで解けてしまうこともあります。
-
-
-
- 整理力:読み取った条件を整理し解答用紙に落とし込む力も重要です。整理の仕方に工夫を加えると、それだけでほぼ解けてしまうような問題も数多くあります。
-
-
-
- 発想力:式にしてみる、図にしてみる、書き出してみる。問題によって取るべきアプローチは様々です。無数の書き記し方から、問題の核をどのように突破するべきかを見出すのは正しく閃きと言えるでしょう。
-
-
-
- 論理力:せっかく問題が解けたとしても、それが自分の頭の中にあっては意味がありません。解答用紙に一つ一つ段階を踏んで、その解答の根拠を示す必要があります。
-
-
-
- 計算力:当たり前ですが、計算が早ければ早いほど、時間に余裕を生むことが出来ます。
-
-
-
- 分析力:試験時間は有限です。自分の得意と苦手、それによる大問との相性や解答に掛かる時間を素早く想定し、最大限のパフォーマンスを発揮するにはどのような解き方をすればいいのかを解析しましょう。
-
といった、多様な能力の全てを高いレベルで要求されます。
すべての能力が完璧である必要はありませんが、自分の能力の何が高く何が低いか、一度考えてみた方がいいでしょう。
また、解答欄は大きく、途中経過を書くスペースがあります。書くことで思考を整理し、部分点を狙いましょう。
国語
開成の国語も、算数に次いで点数の差がつく科目です。近年、年度によっては算数の問題が易化しており、ますます重要度が増していると言えるでしょう。
出題形式としては、毎年揺れが大きく、説明文一題と物語文一題の大問二題という形式が比較的多いですが、随筆や詩などが出る場合や、超長文が一題だけ出される場合もあります。どのような文章にも対応できる必要があると言えるでしょう。
また、解答形式としては、記述問題が殆どです。しかし一般的な漢字問題も例年出るので留意しましょう。
各記述問題は、シンプルな問題文である事が多いです。しかし、解答に含む必要のある要素が多く、整理して短い文章にまとめるのが非常に難しい問題が多いです。
また、背景となる問題文に書かれていない一般常識を知らなければ意味が分からず解答できない問題も出題されます。
そして、物語文の傾向としては、「中学受験をするような(ある種恵まれた)小学六年生には馴染みのない題材」を取り上げた文章が多い、という事です。
そのため、日頃から演習などで様々な種類の物語文に慣れ親しんでおく必要があるでしょう。
また、説明文のテーマにはある程度共通するものがあるので、過去問を通じて開成の感覚を掴むとよいでしょう。
以下に筆者がそれらしく書いた文章を載せます。
文章
開成の国語を解くのに必要な能力として、もっとも重要なのは読解力です。しかし、単に読解力読解力と口を酸っぱくして言われてただけでは、果たしてそれが何なのか、分かるはずもありません。
では、読解力とは一体どのような力なのでしょうか。
試しに、辞書を引いてみましょう。そこにはおおむねこのような事が書いてあるはずです。
「読解力とは、文章を読み、その内容を理解する力の事である。」
そんな事知ってるよ、と思う人も多いでしょうが、実はこのように言葉を分解してみる事は、見た目以上に重要なのです。
まず、「文章を読み」とあります。これは大切なことです。そもそも文章を文章として読まなければ、読解力など発揮しようが無いのです。
つまり、どんなに読解力が高い人間がいたとしても、聞き取れない早口で言われた台詞や知らない言語で書かれた文章を読解することはできません。当たり前ですね。
それと同じで、「読解力」を生かすためには文章を「読む」という前提が必要なのです。読めない漢字が非常に多かったり、文章を読み飛ばしたりしてしまっていては、例えどんなに読解力があったとしてもその文章を読解する事はできません。
「内容を理解する」とありますね。これも重要です。
何故なら「内容の無い(=ひどく薄い)文章」というものが、実はこの世には数多く存在するからです。
例えば私が今「環境問題に対してどう思っていますか!」と聞かれたとします。私は「どうにかしなければいけないとは思います」と答えます。
しかし、この私の回答には、意味のある中身が殆どありません。
この文章を読んでいる誰にだって、「どうにかしなきゃ」という気持ちはあるでしょうが、それはひどくあいまいなものです。
第一、どうにかとはどのような意味なのでしょうか。今からそれを考えてみましょう。ただし、これは私が今から考えたことなので、「どうにかしなければいけないとは思います」と答えた時の私はこんな事一つも考えていませんでした。
環境問題の完全な解決策なんてものは、現状この世界にはありません。
ならば、環境問題の不完全な解決策を用いるしかないのですが、不完全ということはつまり問題があるということです。
例えば、二酸化炭素の排出量を規制する国際目標は、先進国と発展途上国の格差をより広げるという問題点があり、結果参加を拒否せざるを得ない国々が現れました。
これを無理やり解決する方法(例えば、その国々を仲間はずれにするとか!)もありますが、そんなことをすれば新たな問題、時には環境問題より重大な問題が発生してしまう危険性があるでしょう。
そのため、環境問題を解決するには、様々な解決策を考え、不完全なそれらを取捨選択し、改善するという、明快ではない泥臭い取り組みが必要なのです。
どうにか、という台詞には意味がありませんでした。
しかし、この台詞の発言者である私が説明となる文章を加えることで、どうにかとはどのような意味か、五十字以内で記述することが可能になりました。
つまり、読解力というのは「説明された」内容を理解する力なのです。
しかし、その「説明」すべてを筆者がする必要は、実はありません。日本語を読み書きから教えたり、二酸化炭素がどのような物質なのか説明したりする必要は、私にはありません。
私が説明しなければいけなかった内容というのは、「どうにか」とは「明快な解決策が存在しない無い中でも、泥臭く取り組んでいく事」という説明、つまりは言い換えなのです。
そして、我々が理解しなければならない「内容」も「〇〇とは△△である」というような、つまりは単純な言い換えの文章なのです。
おまけ問題
問一 読解力とはどのような力の事ですか。八十字以内で答えなさい。
問二 あなたが「環境問題について、どう思いますか!」と問われたとき、次のABCの中から返事を選び、その意味を二百文字以内で説明しなさい。
A「がんばらなくちゃと思います」
B「どうでもいいです」
C「よく分からないです」
理科
開成の理科は、算数国語と比較すると簡単です。そのため差がつきにくく、逆に言えば点数を落とせない科目です。
全分野から問題が出るので、小学校理科の知識の網羅的な完成が要求されます。
問題自体は選択問題などオーソドックスなものばかりですが、分量も多く素早く正確に解いていく必要があるでしょう。
また、目新しい問題や、実験結果を踏まえた問題など、読み取る力や推察力が求められる問題もあります。
社会
開成の社会は、算数国語と比較すると簡単です。そのため差がつきにくく、逆に言えば点数を落とせないです
開成の社会は、理科と同じく点差がつきにくく点数を落とせない科目です。
解答には何よりもまず社会科目の正確な知識が求められます。
そして問題数もかなり多いので、素早く、それでいて正確に問題を解く能力を求められます。
また、例年東京のご当地地理問題が出題されるので、それらへの対策も必要です。
おわりに
いかがでしたか。
開成中学の入試傾向について解説してきましたが、大切なのは志望校に特化した勉強ではなく、総合的な勉強の能力です。
開成の試験も各科目の総合力を問われる物なので、過去問を解き始める前に、まずは日々の勉強の積み重ね、その確認から始めましょう!
ご高覧ありがとうございました。良ければTESTEAについてもご一読下さい。