自発的に行動している感覚が成功率を上げる
こんにちは、みなとみらいの中学受験特化の個別指導塾TESTEAです。
突然ですが、自分の「したい」ことが、「しなければいけない」ことに変わると、つまらなく感じてしまうと思いませんか?
例えば、本来読書は好きなのに「読書感想文」はやる気が出なかったり。
このことは、コロンビア大学の心理学者ハイディ・グラント・ハルバーソンの書いた「やってのける」(大和書房)にうまくまとまっています。
—以下引用—
自らの意思で選んだ目標は、モチベーションと満足感を高めます。
心理学者のマーティン・セリグマンが「本物の幸福」と呼ぶ、そんな感覚をもたらしてくれるのです。
目標を自ら選ぶことで、「内発的動機付け」と呼ばれる、賞罰に依存しない動機づけが生じます。
内発的動機付けによって、楽しさ、好奇心、創造性、理解などが高まります。
困難に直面しても簡単に諦めなくなり、パフォーマンスも向上します。
内発的動機付けは、驚異的な力で私たちを行動に導くのです。
内発的動機付けは、自らの意思で目標を選択していると感じるだけでも生じます。(心理学者の)デシとライアンは、自分の意思で選択できる、もしくは選択していると感じられる状況で自律性が高まると述べています。
これは、親や教師、コーチ、事業主など誰かに動機を与える立場にある全ての人にとって価値ある情報だと言えます。
年齢や置かれている状況は関係ありません。ある研究によれば、8年生から10年生の男女約300人のうち、体育の教師が自律性を重んじている(「自分に選択肢を与えてくれている」「自分を受け入れてくれている」)と見なしている生徒の方が、そうでない生徒よりも運動を楽しいと感じており、学校以外でも運動しようと する傾向が見られました。
自分が選択したと認識するだけで、運動に対する前向きな気持ちがわき起こるのです。
(中略)
内発的動機付けは、脅威、監視、時間的制約などによっても低下します。人は管理されていると感じると、自律性を失います。職場には内発的動機付けを損なうようなきっかけが多く、従業員は自分の意思で選択して行動しているという感覚を持ちにくくなることがあります。
自律性の感覚を取り戻すには、人々に選択の感覚を与え、その感情を尊重することが大切です。
—引用ここまで—
これを読むと、読書好きな子が読書感想文のために読書をするのに気が乗らなかった理由が想像できますよね。
自律性を損なってしまうのです。
このことから得られる教訓は多くの保護者さんたちに共有しておきたいことだと思いました。
ハルバーソン博士が言うように、親や教師は子どもの自律性を尊重する関わり方をすることが、勉強に対してのやる気を引き出すためには必要です。
「宿題はやらなければいけないものだ」
といったことを子どもに言って聞かせるほどに、お子さんの内発的動機をどんどん奪うことになってしまいます。
まして、勉強のスケジュールを親が立てて、その通りにやるように子どもに強いたりしたら…
良かれと思って、しつけのために、教育のために言っていることが、逆効果になってしまうのですね。
ではどうすれば、内発的動機付けを損なわないよう、子どもに目標や計画を設定させていけるのでしょうか?
宿題のような課題を全て子どもが自分で決めることはできません。
このような状況で、内発的動機を高めるためにできることは何があるでしょうか?
それが、子ども自身に可能な限り選択に関わらせることです。選択肢は多くなくても、選択しているという感覚を持つだけでも効果があります。
いつ、何を、どれくらいやるのか、わずかでもいいから本人に決めさせるのです。
そうして選択の感覚と自律性を持たせると、子どもはその目標を自分自身のものとして自然に受け入れるようになります。
要するにやる気になります。
これは心理学で「内面化」と呼ばれます。
お子さんのやる気を引き出すために、うまくこの内面化を促してあげましょう。
2学期の勉強がスタートし、課題がたくさん出ていることでしょう。
それに対してモチベーションを低下させないように、「やらなければいけない」と感じさせず、自分で「やろう」「やりたい」と思えるように上手に誘導してあげましょう。
そのために効果的なのが、自律性の感覚・選択の感覚を与えることです。
ぜひ覚えておいていただければ幸いです。