中学受験

早稲田中学校・算数入試対策ガイド(保護者向け)

早稲田中学校 算数入試の傾向と対策ガイド


早稲田中学校の算数入試は、毎年多くの受験生にとって大きな挑戦です。難関校の一つである早稲田中は、 論理的思考力高度な問題処理能力を問う問題が出題されることで知られています。 しかし、近年の出題傾向を分析すれば、適切な対策を立てることが可能です。本記事では 2024年度までの最新情報 を踏まえ、算数が苦手なお子さんでも合格点を狙える効果的な対策を、 具体例を交えながらご紹介します。

1. 出題傾向と難易度

まず早稲田中の算数入試の形式を確認しましょう。試験時間は50分で、大問は例年5題、小問数は合計で15題程度となっています。 配点は60点満点で、小問1題あたり4点が割り振られています。各大問に小問が3問前後含まれる構成で、なお早稲田中の入試は 例年2月に第1回・第2回の二度実施されますが、両回とも出題傾向に大差はありません。第1回の志願倍率は約3倍、第2回は4倍前後と 高倍率ですが、ここで述べる対策は両回共通です。 記述式ではなく全て選択肢や数値解答形式 です。また、部分点は一切なく、途中計算が合っていても最終答えが間違っていれば0点となります。 このため、ケアレスミスが致命傷 となり得る試験と言えるでしょう。

難易度については、合格最低点の正答率が毎年およそ 65%前後 と、他の最難関校と比べて高めに設定されています。つまり60点満点中40点程度、15問中10問ほどの正解で合格圏に入る計算です。 この数値からも、早稲田中の算数は「満点を取る試験」というより「確実に6割以上得点する試験」であることがわかります。 問題自体のレベルは奇抜な発想を要する超難問は少なく、基本~標準的な応用問題が中心です。 「一見すると解けそうだが処理に手間取る問題」や「発想の 転換 で素早く解ける問題」が多く、 問題処理スピード正確性 が合否を左右します。 なお、4科目のうちでも算数の出来は合否に与える影響が大きく、ある分析では合格者と受験者の得点差の約4割が 算数の点差で説明されたというデータもあります。

出題分野の傾向を見ると、 図形分野と速さの問題が突出 しています。過去数年間のデータでは、 平面図形・立体図形 などの図形問題が全体の約4割を占め、これに速さに関する問題を加えると 全体の6割程度にも達します。一方、残りの約4割が「数の性質」「特殊算(割合を含む文章題)」「場合の数」といった その他の分野です。大問構成としては、 大問1で計算・数の性質など基本問題大問2で比較的易しい図形問題大問3~5で応用問題 というパターンが定着しています。応用問題の内訳は毎年若干異なりますが、 「図形」「文章題(速さなど)」「場合の数」の3分野から1題ずつ出題されることが多く、年度によっては図形分野から2題出題されることもあります。

難易度面では、問題数が少ない分1問ごとの分量が多く、計算処理も煩雑になりがちです。 試験開始直後の大問1から長い計算や思考を要する設問が登場し、受験生はウォーミングアップの暇もなく 高い集中力を要求されます。大問2以降はさらに難度が上がり、一筋縄ではいかない応用問題が並びます。 もっとも、「極端に難しい(試験時間内に解くのが困難な)問題」も毎年1問程度含まれており、これらは多くの受験生が 手をつけられないため、合否への影響は小さいとされています。そのため、 限られた時間内で取るべき問題と捨てる問題を見極め、確実に得点を積み上げる戦略 が重要になります。実際に合格する生徒は、「全ての難問が解ける」わけではなく、 易~中程度の問題を落とさず、難問を適切に見極める ことで合格点を確保しています。

2. 数の性質・論理的思考の重要性

早稲田中の算数では、 数の性質や論理パズル的な問題 もしばしば出題されます。大問1では毎年、 整数の性質割合計算 など基礎的な応用問題が小問集合として出される傾向があります。たとえば「ある数をある数で割ると○余る」「連続する整数の和」 「公倍数・公約数」「○人に配ると△余る」といった 整数のルール や、 割合・比の基本理解 を問う問題です。これらは一見基本的ですが、 解き方を工夫しないと時間がかかる問題 が1問含まれているのが通例です。早稲田中は「誰でも時間をかければ解ける問題を、いかに素早く処理できるか」を重視しており、 短時間で解法の糸口をつかむ 瞬発力 が試されます。

また、 論理的思考力 を要する問題も重視されています。過去には「真偽表」を用いるような論理パズルや、 「数あてパズル」のような推理問題が出題されたこともあります(例:「A君~D君の発言から嘘つきは誰かを当てる」等)。 さらに、 場合の数 の問題も頻出分野の一つです。組み合わせや順列、道順の数え上げなど、 一見地道な列挙が必要な問題でも、 規則性に気づいて効率よく解く力 が求められます。実際、早稲田中の算数では 規則性を発見できればあっさり解ける問題 が随所に散りばめられています。これらの問題に対応するには、ただ公式に当てはめるのではなく「なぜそうなるのか」を突き詰める勉強や、 日頃から 複数の解き方を考える癖 をつけることが有効です。

対策として、 日常的に数の性質やパズル的問題に親しむ ことをおすすめします。具体的には、 余りの性質を問う問題 (例:1~100の整数に3を掛けたとき各桁の数字の和はどうなるか 等)や 約数・倍数に関する問題 (例:ある数までの整数に含まれる特定の倍数の個数)などを演習しましょう。 また、 四則演算の工夫 (例:連続する数の和を端と端のペアに着目して素早く求める 等)によって 計算を速くするトレーニングも有効です。論理問題については、文章を図表化して整理する練習や、 場合の数の典型問題(並べ替え、組合せ、経路の問題など)を数多く経験して「発想のパターン」を蓄積しておくと、 本番でも落ち着いて対処できるでしょう。

3. 図形問題の対策

早稲田中の算数において、 図形問題の攻略 は合否に直結すると言っても過言ではありません。 前述の通り、平面・立体図形を合わせた図形分野からの出題割合は近年約4割にも達し、他校に比べても図形に非常に重きが置かれています 。しかも早稲田中では 平面図形立体図形 の両方が バランスよく出題される傾向があり、どちらか一方に偏ることがありません。 そのため、受験生は 平面・立体の双方 に対して十分な準備をしておく必要があります。

例年、大問2では比較的基本的な図形問題が3問ほど出題されます。ここでは主に 角度長さの計算 など、中学入試レベルの基礎図形問題が中心です。例えば「三角形や四角形の角度求め」「円周角の定理を利用した角度計算」 「作図された図形の合同・相似」といった問題が典型です。難易度自体は高くないため、 大問2の図形小問は確実に全問正解を狙う 必要があります。角度計算などは手順を覚えれば確実に解ける分野ですから、教科書レベルの基本定理 ( 平行線と同位角・錯角多角形の内角和円周角と中心角の性質 など)を復習しましょう。問題集の図だけに頼らず、 自分で大きめに図を描き直し、条件や補助線を書き込んで整理する習慣をつけると解きやすくなります。

一方、大問3~5では応用的な図形問題が登場します。近年は、 平面図形1題・立体図形1題 が 応用問題として出題されるケースが多く見られます。平面図形では、 図形の移動 (点や図形が動く軌跡や範囲を求める問題)や、 面積比相似 を用いた発展問題、 図形を分割・合体して面積を求める問題などが出題されています。 立体図形では、 立方体の切断展開図投影図 、さらには 水そうの水位変化 など、 空間把握力を試す問題が頻出です。これら応用図形問題は、一目見ただけでは解法が見えづらく、 複合的な考察が必要になることがあります。しかし、図形問題の多くは 「補助線の引き方」「図形同士の関係」 に着目することで解決の糸口が見えてきます。

図形問題の対策としては、まず 基本的な幾何の知識 を体系立てて習得することが重要です。 角度 に関する問題であれば「平行線と同位角・錯角」「多角形の内角和」「円周角と中心角の性質」などを 復習しましょう。 面積 であれば「三角形の高さを揃える工夫」や 「補助線を引いて既知図形に分割」「面積比と相似比の関係」などがポイントです。 立体図形では「展開図を書いてみて対応する面を把握する」「切断面の形状や体積変化を予想する」練習が有効です。 実際に紙を切って展開図を作ったり、立方体モデルを使って切断のイメージを掴んだりするのも良いでしょう。

次に、 応用図形の演習量 を確保しましょう。早稲田中レベルの図形問題に慣れるには、 過去問のみならず他校の入試問題や市販の発展問題集も活用して、多種多様な問題に触れることが大切です。 特に、 点の移動水位の問題 などは発想力を要するので、 同じテーマの問題を繰り返し解き、考え方のパターンを身につけておきます。例えば、水位の問題では 「容器の形状によって水面の上昇速度が変化する」ことを理解し、グラフ化して考える訓練を積むと応用が利きます。 また、解いた後には 解説を読んで別解や効率的な解法 がないかを確認し、自分の解法と比較検討する習慣をつけましょう。 こうした振り返りによって、次に似た問題が出たときにより洗練された解き方が選択できるようになります。

4. 速さ・割合の対策

「速さ」は早稲田中の算数において毎年出題されている重要分野です。 典型的な 速さの応用題 としては、 旅人算 (出会い・追い越し問題)、 通過算 (電車がトンネルを通過する問題)、 流水算 (川の流れと船の問題)、 動く歩道 (エスカレーター上を歩く問題) などが挙げられます。早稲田中でも類似のテーマが頻出であり、特に動く歩道や列車問題が過去問に見られます。 速さの問題では、一つひとつの条件を丁寧に整理し、適切な解法を選択することが求められます。

速さ問題の学習では、 グラフ・図を活用した整理術 を身につけましょう。 複雑な速さの問題、例えば「速さが変化する区間がある」「出発・到着時刻が異なる人が何人もいる」 「距離や時間に複数の条件がある」などの場合、 時間-距離グラフ(ダイヤグラム) を描いて 状況を視覚化すると見通しが立ちやすくなります。グラフ上で直線の交点や平行線を見ることで、 「出会い」「追いつき」のタイミングや関係を直感的に把握できるからです。 また、ダイヤグラムには 相似の考え方平行線の性質 が潜んでおり、 図形的センスも要求されます。一方、問題の条件が比較的単純な場合は、 線分図 (時間や距離を表す棒グラフ)で整理したほうが素早く解けることもあります 。線分図は距離一定や時間一定といった条件を視覚的に捉えやすく、 速さの比など基本原理の理解にも役立ちます。

加えて、 速さの基本公式・比の活用 を確実にしておくことが大切です。 「距離=速さ×時間」の公式はもちろん、応用として 相対速度 の概念(互いに接近・遠ざかる速度)を 理解しましょう。例えば、向かい合って進む二人の問題では速さを足し算、追いかける問題では差をとるといった基礎は 押さえておきます。また、速さ分野の多くは 比の問題 でもあります。 速さ・時間・距離の三量のうち二つが決まれば残りは比例計算で求めるといった発想や、 「同じ距離を進むなら速さと時間は反比例」「同じ時間で進める距離は速さに比例」などの関係性を スラスラ使いこなせるよう、比の演習を積みましょう。また、速さの単位(時間や距離)の換算にも慣れておきましょう。 分と秒、kmとmなど単位が混在する場合は迷わず統一し、例えば時間を全て秒に直して処理するなど、 一貫した方針で計算するとミスが減ります。

「割合(比)」の分野も、早稲田中の大問1や応用問題で頻出のテーマです。典型例として、 仕事算 (作業の分担と時間)、 濃度算 (食塩水などの濃度計算)、 売買算 (利益や損失の計算)、 相当算 (仮定置換による比の問題) などが挙げられます。これらは日常生活にも関係する文章題であり、 基本的な解法パターンが存在します。対策としては、 割合の基礎理解 を固めたうえで 各テーマの典型問題を解き、解法をパターン化しておくことです。たとえば仕事算であれば 「仕事量=仕事率×時間」の考え方、濃度算であれば「濃度=食塩量/水溶液量」や 天秤算 (十字交差法)の使い方など、解き方の型を身につけましょう。

速さ・割合分野の対策として、 計算演習と応用練習のバランス が重要です。 基本的な公式や比の計算はミスなくできるように日々短時間での計算練習を継続し、 その上で応用問題集や過去問で実戦練習を積みます。問題演習の際には、 なぜその解法で解けるのか を意識的に説明できるようにすると理解が深まります。 例えば、線分図やダイヤグラムを使った場合と方程式で解いた場合の両方を試し、 双方の解き方が本質的に同じであることを確認するなど、 多面的な学習 を心がけましょう。 こうした訓練により、本番でも状況に応じて柔軟に解法を選択できるようになります。

5. 学習法

以上の分析を踏まえ、早稲田中算数の合格に向けてどのような学習を進めればよいか考えてみましょう。 ここでは、受験生をサポートする保護者の方にも知っておいていただきたい、 効果的な学習法のポイント をいくつかご紹介します。

  • 過去問の徹底活用: 早稲田中の過去問を中心に演習を行い、 出題パターンに慣れる ことが最重要です。過去問演習を通じて 「よく出る分野」や「自分の苦手箇所」を洗い出し、傾向に即した対策を講じましょう。 解いた後は単に答え合わせをするだけでなく、 間違えた問題の分析 も欠かせません。 「なぜ間違えたのか」「他にどんな解法があり得たか」をお子さんと一緒に振り返り、 次に同じミスを繰り返さないようにします。必要に応じて「間違い直しノート」を作り、 苦手の傾向を可視化して定期的に復習するのも効果的です。
  • 弱点分野の克服: 過去問や模擬試験などで判明した弱点分野は、 早めに手を打ちましょう。例えば図形が弱ければ作図練習や基本定理の確認からやり直す、 速さが苦手なら基礎的な旅人算から丁寧に復習するといった具合です。苦手意識のある分野ほど敬遠しがちですが、 頻出かつ配点比重の高い分野 であれば避けて通れません。 少し難しい問題も「解法のパターン」をインプットし、 類題演習 で定着を図ることで 苦手を得点源に変えていきます。
  • 時間配分と問題選択力の訓練: 本番では限られた時間で最大限の点を取ることが求められます。 普段の演習から時間を計り、 各大問にかける時間配分 を身体に染み込ませましょう。 特に、 「解ける問題から確実に解く」 習慣をつけることが大切です。 早稲田中の入試では全問正解は必須ではなく、難問は飛ばして構いません。 模擬試験などでも、解けそうにない問題に固執せず後回しにする練習を重ねることで、 取捨選択の判断力 が養われます。
  • 計算力・正確性の向上: 計算ミスを減らすことは合格への近道です。 前述のように早稲田中では部分点がないため、 ケアレスミスは命取り になります。 日々の学習で計算練習を取り入れ、 正確かつスピーディー に計算できるようにしましょう。 具体的には、四則計算や分数・小数の計算を毎日短時間で解く習慣をつけ、ミスがあればなぜ起きたか分析します。 また、問題を解いた後に 見直しの時間 を確保する訓練も効果的です。本番でも最後の数分で 計算過程と答えをチェックできれば、ミスの発見・訂正につながります。また、計算途中の書き方を 整然とする訓練も重要です。雑な筆記はミスを誘発しますので、日頃から丁寧に書く習慣を意識しましょう。
  • 思考力・発想力を鍛える: 早稲田中の算数では、単にパターンを暗記するだけでは 対応できない問題も出題されます。そうした問題に対処するには、 日頃から頭を柔らかくする訓練 が有効です。例えば、普段の問題演習で 一つの解き方だけで満足せず、「他に方法はないか?」と考えてみるクセをつけましょう。 別解を模索する過程で、問題の本質を捉える力が養われます。また、ゲーム感覚でできるパズルや論理問題に 親しむのもおすすめです。親子で数字パズルに挑戦したり、図形パズルを解いたりすることで、 (例:ナンプレや図形パズルなど)楽しみながら論理的思考力を高めることができます。
  • 学習環境とメンタルサポート: お子さんが集中して勉強に取り組める環境づくりも 忘れないようにしましょう。静かな学習スペースの確保や、規則正しい生活リズムの維持(十分な睡眠時間の確保など)は 学習効率を高めます。また、算数の点数は伸び悩む時期もありますが、保護者の方は ポジティブな声かけ でお子さんのモチベーションを支えてあげてください。 小さな進歩にも気づいて褒め、自信を積み重ねることで、本番でも実力を発揮しやすくなります。 試験が近づいてきたら、過去問演習を本番さながらの時間・環境で行い、 入試の雰囲気に慣れておく のも効果的です。

以上のポイントを押さえつつ、お子さんの学習状況に合わせて柔軟にサポートしてあげてください。 特に算数は成果が出るまでに時間がかかる科目ですので、早め早めの対策と、 継続的なフォローが重要です。

6. まとめ

早稲田中学校の算数入試は、 出題傾向を見極めた戦略的な学習 によって攻略可能な試験です。 出題傾向としては図形と速さに重点が置かれ、基本的な数の性質や論理力も問われるバランスの取れた内容となっています。 難問奇問に振り回されることなく、頻出分野を中心に基礎から応用まで段階的に実力を養成していけば、 合格最低点の6~7割得点は十分射程圏内に入るでしょう。

保護者の方は、ぜひ本記事で述べたポイントを参考に、お子さんの学習をサポートしてください。 苦手分野の克服や計算ミスの矯正など地道な取り組みが成果につながる一方で、 思考力を伸ばす工夫を取り入れることで、早稲田中が求める「論理的に考え、素早く解く力」が養われます。 過去問演習弱点補強時間配分の練習 という三本柱を中心に、志望校合格に向けて計画的に学習を進めましょう。

算数は正しい学習法で取り組めば必ず成績が伸びる科目です。実際、入試直前の残り数か月で弱点を克服し、 算数を得点源に変えて合格を掴んだ受験生も少なくありません。早稲田中合格という目標に向けて、 親子二人三脚で計画的に取り組み、ぜひ合格を勝ち取ってください。

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