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慶應義塾普通部・算数入試対策ガイド(保護者向け)中学受験コラム

1. 出題傾向と難易度

慶應義塾普通部の算数入試は、問題数が多く、限られた時間内でどれだけ正確に解けるかが合否を左右します。試験時間は40分で、配点は100点満点です。大問は8~10題程度ですが、各大問は1~2問の小問で構成されるため、実際の小問数は13~15問前後にもなります。他校と比べて特別に小問数が多いわけではありませんが、制限時間が短いため、1問あたりに使える時間は平均2~3分程度と非常にタイトです。この時間配分は、他校と比較しても厳しい条件です。例えば、同じ男子難関校である早稲田中学では小問数はほぼ同程度ながら試験時間は60分あり、慶應普通部ではその2/3の時間で同じ問題量を処理しなければなりません。それだけ時間的な制約が厳しい試験といえます。そのため、問題ごとの時間配分や取捨選択の判断力が求められます。

出題される問題の難易度は概ね標準レベルが中心です。基本的な算数の知識と応用力を試す問題が大半を占め、極端に難しい「奇問」や特殊な知識を要する問題はほとんど出題されません。過去の問題分析では、易~標準レベルの問題(レベルA)が全体の6~7割、やや難しい応用レベルの問題(レベルB)が3~4割程度を占め、非常に難度の高い問題(レベルC)は各年に0~1問あるかないかです。したがって合否を分けるのは主にA・Bレベルの問題への対応力となります。標準的な問題が中心とはいえ、合格点に達することが容易かというと決してそうではありません。受験者層の学力水準が高いため、合格者はほぼミスなく標準問題を解き切ることが求められます。毎年の正答率は非公開ですが、概ね6割台後半(65~75点前後)を得点できる力が合格には必要と考えられています。なお、入試難易度の目安として偏差値(四谷大塚基準)で64前後、サピックス偏差値で58程度と非常に高い水準に位置します。実際、2025年度(令和6年度)の入試でも受験者平均は5割強、合格者平均は6割台半ばと推定されており、標準問題を着実に解けるかどうかが合否を左右したといえるでしょう。

出題傾向としては、分野別では図形分野の割合が最も高く、続いて数の性質や速さ・割合といった応用分野の出題が目立ちます。以下に主な頻出分野をまとめます。

  • 計算問題:四則演算や簡単な数式の完成など。大問1で毎年2問出題されており、確実に得点したい基本問題です。
  • 図形問題:平面図形・立体図形の問題が頻出です。図形全体で出題の約3割を占め、角度の計算、図形の面積や体積、立体の展開図など多彩な問題が出ます。
  • 数の性質:整数・小数・分数の性質に関する問題がよく出題されます。約数や倍数、整数の規則性、場合によっては特殊な数列の考察など、数論的な思考を問う問題です。
  • 速さ・割合:いわゆる文章題(応用問題)として、速さと時間の問題、割合や比に関する問題(濃度算など含む)が毎年出題されています。特に旅人算(移動する2者の出会い・追い越し)や濃度に関する問題は出題率が高めです。
  • 場合の数・論理:条件整理や組み合わせを数える問題も頻繁に見られます。与えられた条件下での通り数を求める問題や、一見パズルのような推理問題が含まれます。
  • その他:表やグラフの読み取り、数列の規則性、点の移動などのテーマは、他校では見られるものの普通部では出題頻度が低めです。

このように、慶應普通部の算数は幅広い分野から標準的な問題が出ますが、時間との戦いである点が最大の特徴です。試験では、大問1で毎年計算問題が2問出題され(与えられた式の計算と、穴埋めの逆算問題という構成が定着しています)、残りの大問は年度によって分野が変わります。また、必ずしも大問の番号順に難易度が上がるとは限りません。比較的易しい問題が後半の大問に含まれる場合もあり得ます。したがって、問題文全体にざっと目を通して、解きやすいものから取り組む戦略が有効です。限られた時間内で確実に得点を稼ぐため、捨てる問題と優先して解く問題を見極める力が重要になります。

※数値は受験関係者による推計値です。

参考までに、最新の2025年度入試(令和6年実施)における算数の出題内容を簡単に紹介します。この年は大問8題構成で、各大問のテーマは次の通りでした。

  1. 計算問題(二つの式の計算問題。スムーズに解答すべき基本問題)
  2. 数の性質に関する問題((1)基本的な問題、(2)やや発展的な応用問題)
  3. 推理問題(与えられた数の集合の中央値に関する問題。条件を整理して解くロジック問題)
  4. 平面図形の問題(図形の性質を問う問題。(1)基本的な角度計算、(2)応用的な面積計算)
  5. 濃度算の問題(食塩水の濃度変化を求める問題。特に(2)は難度が高く式によるアプローチが有効)
  6. 速さの問題(典型的な旅人算の問題。(1)(2)とも標準レベルで、対策済みなら確実に解ける)
  7. 整数問題(整数の性質に関する問題。(1)ヒントとなる簡単な問題、(2)やや高度な問題)
  8. 立体図形と影の問題(立体物の影の長さを求める問題。比例関係を見抜けば解ける応用問題)

以上のように、2025年度も計算・基本問題から思考力を要する問題までバランスよく出題されています。平均点は約53点で、特に難度の高い大問5(2)などで差がついた一方、大部分は基礎~標準レベルの問題で占められていたことが分かります。

(なお、2025年度は大問数が8題でしたが、前年の2024年度は9題でした。年度による出題数の違いはありますが、出題範囲の傾向自体に大きな変動はありません。)

2. 基礎力と計算力の重要性

慶應普通部の算数で合格点を得るためには、何よりも盤石な基礎学力が不可欠です。標準レベルの問題が中心である以上、計算力と基本的な解法力がしっかり身についていれば、大半の問題は正解できるはずです。裏を返せば、基礎が不十分だと解けるはずの問題で失点してしまい、合格ラインに届かなくなります。まずは教科書レベルから入試基礎レベルまでの事項を完璧にし、計算ミスをしない正確さを養うことが重要です。基礎学力には頻出問題の解法パターンへの習熟も含まれます。典型問題で悩まないようにしておけば、応用問題に時間と頭脳を割く余裕が生まれるでしょう。また、基礎が盤石であれば試験中に焦りがあっても安定した得点が期待できますが、基礎が曖昧なままだと時間のプレッシャーの中でミスを誘発しやすくなります。

基礎固めの段階では、以下のポイントに留意して学習を進めましょう。

  • 毎日の家庭学習計画を立て、計画的に学習を進める。
  • 基礎力養成にはメインとなるテキストを1冊決め、繰り返し解く。
    (通っている塾のテキストがある場合はそれを中心に、ない場合は市販の体系的な問題集を活用する)
  • 問題演習量を十分に確保し、多くの基本問題・標準問題に当たる。
  • 解いた問題は間違い直しを徹底し、理解が不十分な単元は何度でも復習する。
  • 一度仕上げた問題集やテキストも時間をおいて繰り返し解き、知識を定着させる。

例えば、曜日ごとに学習内容を決めて習慣化すると効率的です(例:月曜日は計算練習、火曜日は図形問題演習、水曜日は過去問演習、など)。

計算力については、日々の反復練習で精度とスピードを高めましょう。四則計算や分数計算などはミスなく素早く解けるよう、毎日短時間でもドリルを行うと効果的です。実際、毎年最初に出る計算問題は確実に満点を取るべき部分であり、短時間で解き終えて他の大問に時間を回す必要があります。また、計算過程を丁寧に書く習慣をつけることも大切です。途中計算を書き残すことでミスに気付きやすくなりますし、万一解答を間違えた場合でも、試験によっては途中経過に対して部分点が与えられる可能性もあります。基礎力を万全にし、計算ミスゼロを目標に練習を重ねてください。

加えて、自分の傾向として起こりがちなケアレスミスを把握し、対策しておくことも重要です。計算途中で符号を見落とす癖があるなら、大事な「+」「-」に印をつけて注意する、単位の書き忘れがあるなら問題を解き終える度に単位を確認する、といったように、日頃からミスを減らす工夫を習慣づけましょう。

また、数の性質(整数の性質)も頻出テーマの一つです。約数・倍数、奇数と偶数、切り上げ・切り捨てや余りに関する問題など、基本的な数論の知識を整理しておきましょう。例えば、「ある数を9で割った余りは、その数の各位の数字和を9で割った余りに等しい」や「奇数同士の和は偶数になる」などの性質は入試でもよく利用されます。これらの性質を知っていると、数字パズルのような問題でも手際よく解答を導けます。

基礎の徹底は地味に感じられるかもしれませんが、合格への確かな土台を築くために欠かせないプロセスです。基礎を疎かにせず丁寧に積み上げた受験生ほど、入試本番でも安定した得点を取れる傾向があります。

3. 図形問題の対策

図形分野の攻略は慶應普通部算数合格の鍵と言っても過言ではありません。図形問題は出題数・配点ともに大きな割合を占め、得点源にも失点要因にもなり得ます。平面図形では、三角形や四角形の角度求測、図形の合同・相似に関する問題、複合図形の面積計算などが定番です。円が絡む問題や作図的な問題が出ることもありますが、基本は小学校範囲の知識で十分対応可能です。なお、中学校以降で習うような高度な定理(例えば三平方の定理や円周角の定理など)は必要なく、小学校範囲の基本知識と発想力で解ける問題がほとんどです。立体図形では、立方体や直方体の展開図、立体を切断したときの断面図、立体の体積や表面積計算などがよく出題されます。

図形問題に強くなるには、空間把握能力と作図スキルを養うことが大切です。日頃から図形の問題に取り組む際は、自分で図や見取り図を丁寧に描いてみる習慣をつけましょう。手を動かして図形を描くことで、問題の状況を正確にイメージできますし、解法のヒントも掴みやすくなります。また、展開図や立体の切断などは頭の中での立体イメージが要求されますので、実際に紙を切り貼りしてみたり、立体模型を使ってみたりするのも理解を深める助けになります。

典型的な図形問題のパターンは一通り押さえておきましょう。例えば、角度の問題では平行線の錯角・同位角や三角形の内角の和など基本定理の組み合わせで解けるケースが多いです。面積の問題では、補助線を引いて合同な図形を見つけたり、面積比から辺の長さを推測したりするテクニックが有効です。立体図形では、展開図を頭に思い浮かべて対応する面を追ったり、断面図を平面図形の問題に帰着させたりする力が求められます。近年では「影の長さ」や「光と影」を扱う問題が出題された例もあり(2025年度)、これは実質的に相似の応用問題ですが、図形と比の融合した良問です。具体的には、高さのわかっている物体とその影の長さから太陽光の角度を割り出し、それをもとに未知の高さの物体の影の長さを求めるという内容でした。このように相似な図形の比を活用する典型例であり、日頃から基本的な図形の性質と比の考え方を結びつけておくことが重要だとわかります。一見複雑そうな図形問題も、基本原理(合同・相似、面積比、体積比など)に立ち戻れば解法が見えてきます。難しい図形問題では、補助線の引き方や図形の捉え方に工夫が求められます。一つの図形を複数の視点で見る練習(対称性に注目する、図形を分割・再配置してみる等)を積むことで、初見の問題でも柔軟に対応できるようになります。

図形分野は問題集や過去問で量をこなすことが何より重要です。様々なパターンの図形問題に触れておくことで、本番で初めて見るパターンにも対処しやすくなります。苦手意識がある場合は、図形問題に特化した参考書や問題集(例えば『○○で攻略!図形問題』など)を利用し、集中的に演習するとよいでしょう。頻出のテーマについては自分なりの解き方のコツを整理しておくと、本番でも落ち着いて対処できます。

図形分野は対策をしっかり行えばライバルに差をつけやすい分野でもあります。苦手意識を克服して得点源にできるよう、継続して演習を積み、自信を持って本番の図形問題に臨めるようにしておきましょう。

4. 速さ・割合・特殊算の対策

速さや割合に代表される文章題(特殊算)は、慶應普通部でも頻繁に登場する重要分野です。速さの問題では、基本的な距離=速さ×時間の公式を使うものから、複数の移動体が絡む高度な旅人算まで、幅広いパターンの設問が考えられます。まずは単位の換算(分速・時速の変換など)や、相対速度の概念といった基本事項を確実に理解しておきましょう。その上で、典型的なパターン(出会いと追い越し、列車がトンネルを通過する問題、往復の所要時間計算など)の解き方を身につけることが大切です。速さの問題は図や表を書くと整理しやすいため、練習段階から図表を書いて解く習慣をつけるとミスが減ります。例えば、向かい合って進む2人がいる場合、それぞれの速さを合計した「相対速度」で近づいていると考えます。この発想が身につけていれば、往復や追い越しの複雑な問題もシンプルに処理できます。例えば、川の流れに逆らう船の問題(流水算)や、動く歩道の上を歩く人の問題なども、図示して考えると分かりやすいので練習しておくと良いでしょう。

割合の問題も毎年出題されます。割合そのものの計算はもちろん、応用として濃度算(食塩水など液体の濃度を問う問題)や分配算(比を使った分配)、過不足算(配り過ぎ・不足の問題)といった様々な形式があります。これらの問題では、比の性質を自在に使いこなすことがポイントになります。特に濃度に関する問題は、食塩水の濃さを求める基本問題から、蒸発や加水による濃度変化を問う発展問題まで幅広く、還元算(変化を逆算して元に戻す考え方)などのテクニックが必要になる場合もあります。割合の文章題は、状況を式に置き換えて考える力も重要です。小学校範囲では方程式は習いませんが、簡単な方程式的アプローチができるようになると理解が早まることもあります。濃度算では、溶けている物質の絶対量に注目すると理解しやすくなります。例えば10%の食塩水200gには食塩が20g含まれますが、水を蒸発させても食塩量は変わらないため、残った食塩20gが全体の何%に当たるかを考えれば新たな濃度を求められます。このように状況を数量で捉える習慣をつけることが大切です。

場合の数や論理パズル的な問題への対策も怠らないようにしましょう。条件を整理して場合分けし、漏れなく数え上げるスキルは一朝一夕には身につきません。例えば、「並べ方」や「組み合わせ」を問う問題では、安直に公式に当てはめるだけでなく、実際に書き出してパターンを掴む練習が有効です。また、与えられた条件から推論して答えを導く推理系の問題(真偽を判定する問題や、中学入試では有名な覆面算など)が出ることもあります。覆面算は一見ゲームのようですが、位取りと場合分けの論理が要求される良問です。経験を積むことで他の数当て問題にも応用できるでしょう。ちなみに、2025年度には中央値(データの真ん中の値)に関する推理問題が出題されましたが、このような問題も基本概念の理解と冷静な論理整理で解けるようになっています。日頃からパズル的な問題に触れておくことで論理的思考力が鍛えられ、本番でも落ち着いて考えを進めることができます。

特殊算全般の対策としては、各テーマごとに典型問題を押さえた上で、過去問や類題で総合的な演習を積むことが有効です。慶應普通部では極端に奇抜な設定の問題は出ませんが、標準的な題材でも組み合わせ方によっては十分思考力を要する良問が多いです。過去に出題された速さ・割合の問題や条件整理の問題を解いてみて、自分の解法プロセスを振り返る習慣をつけましょう。「なぜその解き方になるのか」「他に効率の良い解法はないか」を考えることで、同種の新しい問題に出会っても対応できる応用力が身についていきます。

特殊算の分野は、解法パターンに習熟しているかどうかで処理スピードに大きな差が出ます。解き方の型を覚えるだけでなく、その背景にある考え方を理解しながら問題演習を重ねましょう。それによって、初めて見る問題にも柔軟に対処できる応用力が養われます。

5. 学習法

慶應普通部の算数対策は、小学5年生から6年生にかけて段階的に進めていくのが理想です。以下に、効果的な学習法の流れと具体的な教材例を紹介します。

  • 5年生:基礎固め期
    5年生のうちは、算数の基礎事項の習得と計算力アップに重点を置きます。塾に通っている場合は塾のカリキュラムに沿って復習を徹底し、四谷大塚の『予習シリーズなど体系立てられた教材で基礎から標準レベルの問題演習を積みましょう。市販の問題集では、『中学入試 算数 塾技100』(文英堂)などを活用し、頻出の解法パターンやテクニックをこの時期に習得しておくと効果的です。また、計算については日々計算ドリルを行い、ミス無く速く解ける力を鍛えておきます。
  • 6年生前半:応用力養成期
    6年生の春~夏にかけては、応用問題への対応力を伸ばす時期です。学校別の傾向も意識し始め、『自由自在 算数』(学研)のような網羅的な参考書で弱点分野の解説を読み直したり、『最難関算数○○問題集』といった発展問題集で思考力系の問題に挑戦したりすると良いでしょう。ただし、この段階でも基礎がおろそかになってはいけません。新しい問題集に手を広げすぎず、5年生までに仕上げたメイン教材も並行して復習し、基礎から応用まで知識の定着を図ります。必要に応じて塾の先生や家庭教師に相談し、理解が不十分な部分を夏までに潰しておくことも検討しましょう。
  • 6年生後半:過去問演習
    夏休み以降は志望校対策を本格化させます。慶應普通部の過去問題集(声の教育社などから出版)を入手し、実際に時間を計って解いてみましょう。1回分40分で解いて自己採点し、解説を読みながら間違えた問題を分析します。最初は時間内に解き終わらないかもしれませんが、回数を重ねることでスピード感覚が身についてきます。可能であれば、家庭でも模擬試験のように静かな環境で時間を測って解く練習をすると、本番さながらの集中力を養えます。過去問演習は秋から入試直前まで繰り返し行い、出題パターンに慣れるとともに時間配分の感覚を掴むことが重要です。また、過去問で不足を感じた分野は補強が必要です。例えば図形分野で失点が多かったなら再度図形問題集に取り組む、速さの問題で時間がかかったなら類似の問題を集中的に演習するといったように、弱点を潰していきましょう。目標としては、入試直前の時期に過去問演習で常に7割前後の得点を取れる状態を目指したいところです。
  • 模擬試験や講習の活用
    志望校対策として、外部の模擬試験や夏季・冬季講習、直前講座なども積極的に活用しましょう。合不合判定模試や首都圏模試などで客観的な立ち位置を把握し、時間制限下での練習を積むことは本番への良い訓練になります。模試では、本番同様の緊張感の中で解く経験を積めるため、積極的に受験しましょう。なお、大手塾に通っている場合は、秋以降に実施される志望校別特訓(慶應対策講座など)があればぜひ参加し、最新の傾向に沿った指導を受けることをお勧めします。例えば、サピックスの「志望校特訓 慶應普通部コース」や早稲田アカデミーの「NN慶應プロジェクト」では、慶應の入試傾向に的を絞った良質な演習問題と解説を提供しています。こうした機会を通じて、より実戦的な力を養っておきましょう。
  • 参考書・教材の活用
    上記で挙げた教材以外にも、自分の学力や目的に応じて様々な参考書を使うことができます。例えば、以下のような市販教材が有用です.
    • 四谷大塚予習シリーズ四谷大塚が発行するカリキュラム教材。基礎から応用まで体系的に学べ、塾生でなくとも独学用に利用可能です。
    • 文英堂『中学入試 算数 塾技100』:入試算数の頻出テクニックを厳選100題でまとめた問題集。解法の「コツ」を効率よく学べます。
    • 学研『算数自在』(旧・自由自在):各単元の重要事項と例題を詳しく解説した参考書。応用問題の解説も丁寧で、辞書的に使えます。
    • みくに出版『中学への算数』:中学受験算数専門の月刊誌。思考力を養う良問が多数掲載され、パズル的な問題にも強くなります。
    • 日能研『計算名人免許皆伝』:計算力強化用の問題集。基礎計算から難度の高い計算まで段階的に訓練でき、計算が苦手な場合の特効薬となります。
    以上のような教材を活用する際に重要なのは、選んだ教材を最後までやり抜くことと、自分の弱点に合った部分を重点的に補強することです。参考書は次々と新しいものに手を出すのではなく、必要なものを見極めて繰り返し活用しましょう。

以上のように段階を踏んだ学習を行うことで、基礎から応用までバランス良く力を伸ばし、慶應普通部の算数に万全の態勢で臨むことができます。

6年生の秋以降の直前期には、一週間単位で各分野をバランス良く学習するサイクルを作る方法も効果的です。例えば、月曜日に計算問題と数の性質の演習、火曜日に図形問題、水曜日に速さ・割合の文章題、木曜日に過去問演習、金曜日に間違えた問題の復習と弱点補強、土曜日に模擬試験や実戦形式の総合演習、日曜日に軽い復習と休養、といった具合です。毎週このようなローテーションで学習を進めれば、全ての分野に継続的に触れることができ、学力の維持・向上につながります。

6. まとめ

慶應義塾普通部の算数入試は、標準的な問題を中心に出題されるものの、時間制限の厳しさ要求される正確性の高さから、受験生にとって挑戦しがいのある試験となっています。合格を勝ち取るには、まず基礎力を徹底的に固め、ミスをしない計算力を身につけることが前提条件です。その上で、図形や速さといった頻出分野の対策を重点的に行い、典型的な問題パターンを網羅しておく必要があります。また、過去問演習を通じて出題傾向や時間配分に習熟し、本番で実力を発揮できるようにしておきましょう。

慶應普通部の算数では、「解ける問題を確実に解き、難しい問題で極力失点しない」という姿勢が重要です。限られた時間の中で自分の得意分野から着実に得点を積み重ね、苦手分野も基本問題は取りこぼさないようにしましょう。仮に難問に直面しても深追いしすぎず、適度なところで見切りをつけて他の問題に時間を振り向ける判断力も求められます。ケアレスミスを防ぐためにも、日頃から丁寧かつ迅速に解く練習を重ねてください。そうした努力を積み重ねれば、合格ラインの得点を安定して取れる実力が身につくはずです。慶應普通部の算数は決して超人的な才能を要するものではなく、正しい方針で地道に取り組めば十分攻略可能です。

  • 解き始める前に問題全体に目を通し、各問題のおおよその難易度を把握する。
  • 確実に解けそうな問題から着手し、難しい問題は飛ばして後回しにする。
  • 1問に固執しすぎない。時間をかけても解けないと判断した問題は途中でも一旦ストップし、次の問題に進む勇気を持つ。
  • 計算や単位変換のミスを防ぐため、丁寧さと迅速さのバランスを意識する(問題用紙に簡潔に筆算を書くなど)。
  • 試験終了前に数分でも見直しの時間を確保し、答えの漏れや書き間違いがないか確認する。

入試直前期(試験直前の数週間)は、新たな問題集に手を広げるより、これまで扱った問題の総復習に重点を置きましょう。過去問や模試で間違えた問題をリストアップし、もう一度解き直してみることで、自分の弱点を最終確認できます。また、生活リズムを整え、体調管理にも十分注意してください。算数の勘を鈍らせないために、前日まで毎日軽い計算練習や一問一答レベルの問題で頭を慣らしつつ、夜はしっかり睡眠を取りましょう。そして本番当日は落ち着いて、これまで培った力を発揮することに集中してください。

最後に、入試本番では平常心を保ち、これまで培ってきた力を信じて問題に向き合ってください。十分な対策を積んできた受験生であれば、慶應義塾普通部の算数入試で必ずや実力を発揮し、合格への道が開けることでしょう。

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